カダフィ大佐の息子が死亡か

2011.5.1


 日曜ですが、リビア情勢で大きな動きがあったので更新します。

 BBCによれば、ムアマール・カダフィ大佐(Colonel Muammar Gaddafi)の住居、バブ・アル・アジジヤ(Bab al-Azizya)が爆撃され、大佐の息子、サイフ・アル・アラブ(Saif al-Arab)と孫3人が死亡したとリビア政府が発表しました。大佐自身は無事でした。

 国内報道にあるものは、できるだけ省略します。

 NATO軍はバブ・アル・アジジヤ近くの「既知の指揮統制センター」を攻撃したと言いました。NATO軍の広報官は空爆は個人ではなく、軍事目標を狙ったと言いました。

 ジャーナリストは、建物は激しく破壊され、現場に不発弾が1発あったと言います。

 この死は独自に確認されていません。

 リビア政府広報官、ムーサ・イブラヒム(Moussa Ibrahim)は、土曜日の攻撃は国際法に違反すると言いました。「我々がいま経験したものは無法地帯の法なので、世界にこれを注意深く調べるよう要請します」と言いました。「これが民間人を守るのをどう助けるのですか?。サイフ・アル・アラブ氏は民間人で、学生でした。彼が攻撃され、犯罪に関与せずして殺された時、彼は彼の父母、姪と甥と歓談していました」。「我々は繰り返し、交渉、和平へのロードマップ、政治的な転換期間、選挙、国民投票の用意があると言ってきました」「NATO軍は我々の制約を関知してません。西欧は我々の声明を関知してません。彼らは我々の自由、石油という我々の富、リビア人の未来を決める権利を奪うことしか関知してません」。

 サイフ・アル・アラブを殺した空爆はカダフィ大佐がテレビ演説で停戦と交渉を呼びかけてから1日以内に起こりました。

 リビア政府は大佐のテレビ演説中にテレビ局を含む施設にNATO軍の空爆があり、それはカダフィ大佐を殺すために計画されたと報告しました。

 土曜日に、NATO軍は政府軍が民間人への攻撃を止めるまで交渉はしないと言いました。

 暫定国家評議会の副議長も、リビアの指導者は基本的人権、国際人道法、リビアと全領域の安全保障を侵害するためだけに停戦を提供すると言って、交渉を拒否しました。


 4月下旬からバブ・アル・アジジヤが何度が攻撃され、NATO軍は指揮統制センターを狙ったと発表し続けていました。これはカダフィ大佐を直接狙った攻撃に思えます。指揮統制センターの場所は正確に分かっているはずで、こんなに何度も失敗するはずはありません。テレビ演説中の爆撃も暗殺を狙ったと見るべきです。ある意味、カダフィ大佐は「既知の指揮統制センター」ですから、嘘ではないというジョークのつもりかも知れません。 それから、カダフィ政権内部に内通者がいる可能性もあります。これほど早くに大佐の居場所が分かって、空爆を実行できるのは、無人攻撃機のお陰だけとは思えません。

 国連安保理では、ロシアと中国がリビア攻撃に反対していて、カダフィ大佐個人を狙ったとなれば、両国の反対はますます強くなりますが、空爆は国連決議を盾にしつつ強行されるでしょう。NATO軍も、リビア作戦は早めに終わらせたいのが本音で、カダフィ大佐が死ねば現政権はもろく崩壊すると見ているのです。

 早く内戦を終わらせるには、カダフィ大佐を追放することです。そうすれば民間人を攻撃する者はいなくなります。うっかり交渉に乗れば、北朝鮮みたいに長期間の無駄な時間を費やすことになるのです。ここで「相手の言うことも聞いてみよう」と考えるのは最悪です。イブラヒム広報官は自分の仕事をきっちりとこなしていますが、誰も聞こうとはしないでしょう。



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