NATO軍がリビア反政府派を誤爆

2011.4.8


 military.comによると、NATO軍の空爆がリビア反政府派を誤爆し、少なくとも反政府派5人が死亡し、20人以上が負傷しました。

 ブレガ近くの前線での攻撃は反政府派部隊への、1週間を待たない2度目の誤爆でした。「ぶっつぶせ。NATO軍をぶっつぶせ」と、ある反政府戦士は、何十もの車両がアダビヤの方向に向け、前線から東へ急いだときに叫びました。その後、カダフィ軍が反政府派部隊の混乱を沿岸の道路を前進するために利用するという恐れの中で、数百の車が反政府派の首都ベンガジへ向けて、アダビヤからドッと出てきました。

地図は右クリックで拡大できます。

 匿名を希望したNATO軍当局者は反政府派の主張を調査すると言いましたが、直接的な情報はありませんでした。別の声明では、NATO軍は反政府派の主張を、イギリスの軍用機がリビア最大の油田を攻撃し、攻撃は政府軍によって行われたと否定しました。

 反政府派指揮官、アイマン・アブドル・カリム(Ayman Abdul-Karim)は、彼が空爆が戦車と、ブレガに向かう戦士を乗せたバスを含む反政府派の隊列を攻撃するのを見たと言いました。彼と他の反政府派は、大勢が死傷したと言いましたが、正確な犠牲者の人数は分かりませんでした。アダビヤ病院のモハマッド・イドリス医師(Dr. Mohammad Idris)は、少なくとも5人が死亡し、重度の火傷を負った何人かを含む22人が負傷したと言いました。イドリス医師は、他の犠牲者は地域から逃げる混乱で戦場に残されたと言いました。ベンガジでは、反政府派広報官、イマン・バグアイジス(Iman Bughaigis)は死者は最高で13人だと言いました。小さな医療施設は圧倒されました。ある反政府派は廊下に座り、負傷した脚をガーゼでくるんでいました。

 先週金曜日、NATO軍の空爆は東部リビアで13人の反政府派を殺害しました。反政府派広報官はそれを変動する戦いの中での「不幸な事故」と呼び、カダフィ軍の戦力を余話ベル国際的な空軍作戦の支援を約束しました。木曜日、NATO軍は攻撃が起きた状況は不明確で、すべての方向に機械化された兵器が移動して流動的だったと言いました。

 しかし、反政府派のNATO軍への不満は強まっているようです。反政府派指揮官は、空爆は反政府派に優位を与えるには、あまりにも遅く、正確性を欠くと、ここ数日不満を述べました。NATO軍当局者は、カダフィ軍が同盟国の爆撃を失敗させるために民間区域に紛れ込んでいると言います。

 アブドル・カリムは、反政府派の車両の上面は、NATO軍のアドバイスで反政府派を識別するために黄色く塗られていると言いました。しかし、反政府派はリビア軍から奪取した戦車やその他の車両を使っており、潜在的にそれらの車列は上空からはカダフィ軍と類似して見えるのです。

 攻撃はブレガから18マイル(30km)で起こり、反政府派は政府軍の戦線を突破するのに苦労したと言いました。100万バレルを運べるリビア船籍のタンカー、イクウェイター(Equator)は、水曜日にトブルクからシンガポールへ向けて出港しました。しかし、反政府派が占拠した油田への継続的な攻撃は生産を麻痺させました。リビアは、イギリス軍のジェット機が爆撃したと主張しましたが、NATO軍は告発を否定し、カダフィ軍を非難しました。「我々はカダフィ軍がこの地域を数日前に攻撃したことに気がついています」と、連合軍の作戦を指揮するカナダ軍のチャールズ・ブシャード中将(Lt. Gen. Charles Bouchard)は言いました。「NATO軍を非難するのは、この政権がどれだけ絶望的かを示しています」。

 政治的な動きは省略しますが、一件だけ紹介します。

 元カダフィ派の前エネルギー大臣、オマル・ファトヒ・ビン・シャトワン(Omar Fathi bin Shatwan)がイギリスやその他のヨーロッパ外交官とカダフィ政権の状態を議論するために会合を持ちました。彼は漁船でマルタへ逃げました。


 結局、反政府派はブレガは愚か、アダビヤも捨てたようです。これでは秩序だった軍隊とは言えません。「フリダシに戻る」の感。

 誤爆以上に、この後退は大問題です。問題が多すぎて、何から言えばよいか分かりませんが、これまでに指摘してきたことを読んでもらえれば理解して頂けると思います。こんな調子では、西リビアと東リビアが存在し続けることになります。車両は上面を黄色と赤に塗り分けて、識別しやすくするなどの工夫が必要です。もともと、NATO軍の指示が不適切なのです。黄色系に塗られているリビア軍の車両を黄色に塗ったところで違いは出ないでしょう。戦いをまとめる者が必要なのに、国際社会は自国の利益を主張する人たちの集まりでしかないところに問題があります。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.