反政府派の進撃と空爆の因果関係

2011.4.4


 military.comによると、先週木曜日の議会証言で、ロバート・ゲーツ国防長官(Defense Secretary Robert Gates)と統合参謀本部議長マイク・マレン大将(Adm. Mike Mullen)は、日曜日に米軍はトマホーク巡航ミサイルを発射するのを止め、状況が変わらない限りは発射しない方針だと言いました。

 トマホーク巡航ミサイルを搭載する水上艦と潜水艦は、NATO軍の要請があり、国防総省の承認があれば発射を再開する地中海上の位置に留まります。イタリア本土と海軍の揚陸艦の攻撃機も待機します。空中給油と航空偵察を含む範囲の支援を続けます。飛行禁止区域を監視する戦闘任務はNATO軍の航空機が行います。金曜日現在、米国防総省によれば、3月19日の作戦開始以降、米軍は合計221基のトマホーク巡航ミサイルを発射しました。イギリス軍が発射したトマホーク巡航ミサイルは7基でした。

 国防総省は金曜日にムーサ・クーサ外務大臣(Foreign Minister Moussa Koussa)の離反に勇気づけられたと言いました。広報官マーク・トナー(Mark Toner)は、米政府当局者はリビア人と直接接触していないと言いました。「我々は、ムーサ・クーサの離反は政権内の亀裂のもう1つの兆候だと思っており、我々は政権内の他の者たちに彼の例に続くように呼び掛けます」「我々は、彼らが退陣する、自分たちの時代ではないという兆候を感じると考えていることを明確に言ってきました。……彼らが退任し、カダフィ大佐自身が非合法化され、退陣することは極めて明白です」。

 ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)は、「あなたたちのタイミングは見事です」と皮肉っぽく言い、カダフィの軍事的前進とアメリカの空爆停止をほのめかしました。「私はこれが潜在的に壊滅的な結果を伴う根本的な間違いだと思います」。

 作戦に関与した米海軍の艦船は金曜日の時点で、作戦開始時の11隻から9隻に減り、数日後にはさらに減るとみられます。木曜日夜、西リビアでF-15とF-16で攻撃された目標はレーダー基地やミサイルを発射位置に運んで持ち上げる軍用車両でした。500ポンド爆弾を落とした海兵隊の強襲揚陸艦キアサージ(USS Kearsarge)搭載のハリアーは、主にカダフィの戦車、装甲兵員輸送車、自走砲を狙いました。

 マレン議長とゲーツ長官は、AC-130やA-10は土曜日に飛行を停止するものの、待機を続けると言いました。状況が悪化すれば、NATO軍指揮官は航空戦力を要請できます。

 military.comが反政府軍の後方からやってきた軍服姿の兵士たちについて報じました。彼らは政権から離反した元カダフィ軍の兵士でした。

 訓練を受けていない、時には武器すらない反政府派は数週間、混乱した戦闘に飛び込み、繰り返しカダフィ大佐の重装備の軍隊に打ち破られてきました。金曜日に元将校と彼らの指揮下にある簡単な訓練を受けた志願兵が最前線へ入ることができ、今週100マイル(160km)を押し戻すことが期待されています。

 「若く訓練を受けていない者の問題は前線での我々の弱さになるので、我々は彼らを予備軍として使おうとしています」と、33歳の元軍曹、モハメッド・マジャ(Mohammed Majah)は言いました。「彼らは武器の使い方すら知りません。彼らには凄い熱意がありますが、いまそれだけでは十分ではありません」。マジャは正面の1人だけが元兵士だと言い、経験のある者は予備役、約20%は訓練を受け部隊に編入された若い革命家だと言いました。

 増援部隊の最高指揮官の1人、元内務大臣アブデル・ファタ・ユネス(Minister Abdel-Fattah Younis)が金曜日に、前線へ輸送隊を組んで進むと、戦士たちは喝采しました。

 金曜日に3つすべての地域で反政府派の改善の兆候がありました。

 反政府派は以前は持っていなかったらしい迫撃砲を得ました。木曜の夜に少なくとも8基のロケット発射機を持つ隊列を走らせました。反政府派は無線機や衛星電話のような通信機材を持っています。主戦場の東部にあるガソリンスタンドのポンプを動かせる、新しく設置されたディーゼル発電機は別の進展でした。

 彼らはいくらかの空爆も見たようです。アダビヤ(Ajdabiya)の反政府派は2機が上空を飛び、その後、通常の砲撃よりも強力な8〜10回の爆発がカダフィ軍のいる西方から聞こえると「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫びました。先週は悪天候のためにほとんどの戦闘任務は中止されたとマレン大将は木曜日に言いました。

 金曜日に最前線がどこにあったかは不明でした。その日の朝、反政府派はアダビヤの50マイル(80km)東にあるブレガ(Brega)に移動しましたが、カダフィ軍によって再び押し出されました。ベンガジ出身で、47歳の軍高官アーメド・アル・シリ(Ahmed al-Shiri)は、カダフィ軍がブレガの25マイル(40km)西のビシュア(Bishr)にいると言いました。

 「我々はリビア全土で準備し、訓練し、部隊を確立しているところでした」と反政府派に加わった元空軍のメンバー、ハミド・マフタァ(Hamid Muftah)は言いました。志願者は25日の訓練を受け、正規軍からの離反者が指揮する6〜7人のグループに編成されています。「彼らはまだ良好ではないものの、経験を積んでいます」とマフタァは言いました。

 「我々はいま望んでいることができません」と、対空気銃を乗せた石油会社のピックアップの後ろで、40歳のナセル・ゼウィ(Nasser Zwei)は言いました。「我々は命令に従い、変化を生むでしょう」。

 いま、訓練を受けていない戦士は検問所で締め出されています。彼らはカダフィ軍が訓練を受けた反政府派の側面に回ろうとした場合に備えて、戦線を維持するために後方にいると、26歳の戦士、アリ・ビン・エイマ(Ali Bin-Amr)は言いました。

 アル・シリは、先週に改善があったと言いました。彼は「編成の欠如」がシルト(Sirte)に向かったときの反政府派の失敗だと言いました。カダフィの拠点に、彼らは先週進撃し、圧倒的な大砲とロケットの砲撃力で後退しました。現在は「我々はベンガジの軍評議会からの命令を受けています。彼らは統制下にあります。軍は統制下にあります」と彼は言いました。規律が乱れた戦士はもはや指揮していません

 リビア国営テレビは、彼が離反したとの噂を打ち消すため、情報局長ブザイド・ドーダ(Bouzeid Dorda)の電話インタビューを放送しました。


 トマホーク巡航ミサイルと拠点への空爆は大体終わっている時期だと思われますので、米軍が手をひくのは、アフガン撤退を抱えた現在は妥当な線だと思われます。問題は空爆を開始する時でした。やはり遅すぎたという印象は消せません。空母を投入する方法もありますが、反政府派の統制が十分ではないときに、地上軍と連携した戦術的な空爆は難しいことから、イタリア本土や揚陸艦から固定目標に対する空爆を中心にしたのかも知れません。あとはNATO軍の航空機がやってくれると考えるしかありません。

 すでに誤爆が何件か起きており、空爆では避けがたい事故もあります。この時点で手をひくのは、すでにイラクとアフガンで散々、誤爆を行った米軍としては正しい選択かも知れません。リビアで同じ印象を作り出すと、それこそ致命的です。もっとも、イラクとアフガンではNATO軍もかなり誤爆をやっています。今後、似たような誤爆が続くなら、やはり政治的に大きなマイナスとなるでしょう。

 反政府派が組織化され、天候に恵まれて空爆の効果が出れば、今週中に中部で前進が見られるはずです。それがなければ、この内乱は極めて長期化し、リビアが二分される危険があります。カダフィ政権が自己崩壊してくれれば、それで話は終わるのでしょうが、それにはミスラタが陥落する必要があるように思われます。



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