タリバンの刑務所脱走は陰謀か？

　military.comによれば、約500人のタリバンが掘るのに数ヶ月かかったトンネルを通って脱獄した事件は、アフガニスタン当局が見て見ぬ振りをするか、積極的に協力したことなしには起こらないと専門家が言いました。

　タリバンは、488人の脱走者のごく少数が計画が進行中であることを知っており、その夜、１キロ長のトンネルを通って逃げるために戦友たちを起こしたと主張しました。政治アナリストのアルーン・ミール（Haroun Mir）は、最近の警察や軍に勤務していた武装勢力が起こした攻撃の後で、この事件はアフガン軍に浸透していることを強調すると言いました。「これらの攻撃は、タリバンとその他のテロ組織が高度な度合いでアフガン軍内部に浸透していることを示します」「このトンネルは一晩の仕事ではありません。それには時間がかかります。確実に刑務所内部に協力者がいます」。

　元アフガン外交官でアナリストのアハマド・セイディ（Ahmad Sayidi）は、タリバンが政府の検問所の下さえ通ると言った長いトンネルを誰にも気がつかれずに掘るのは実質的に不可能だと言いました。「この長さのトンネルを掘るには、土を百台以上のトラックに積んで移動します…刑務所当局の関与なしには不可能です」と彼は言いました。

　アフガンの刑務所の長官、アミル・モハマッド・ジャムシード（Amir Mohammad Jamshid）は、タリバンの脱走が刑務所内で働く刑務官の援助を受けられたことを認めました。「それは除外できません」と彼は言いましたが、「このトンネルは刑務所の内側から掘られていませんから、（内部協力者が）関与したことは必ずしも本当ではありません」とも主張しました。

　カブール大学の講師で、政治コメンテーターのアフマド・マスード（Ahmad Massoud）は、和平交渉でのタリバンの主要な条件が囚人の釈放で、政治的に高度に敏感な問題であり、当局者がプロセスの一部として脱走に目をつぶったのかも知れないと言いました。「この脱走は政治的な隠蔽です。これは政治的な動きです」「これはアフガン政府の知識や促進すらなしには起こり得ません」。

　モハンマド・カシム・ハシムザイ法務副大臣（deputy justice minister Mohammad Qasim Hashimzai）は、月曜日に何度もコンタクトしましたが、コメントは得られませんでした。

　ミールは、脱走は陰謀よりはカオスに原因があると思う、と言いました。「私はアフガン政府が遺憾にもほとんど麻痺していると確信しています」「これはアフガン政府の弱さ、アフガン警察の弱さのためです」。

　私は単純に、カンダハルはタリバンの牙城だから、刑務所内に協力者がいても不思議ではないと思います。

　でも、外から刑務所内へトンネルが掘られたのなら、トンネルを掘る上での内部協力者はいなかったかも知れません。しかし、夜間にも見回りが囚人の存在を確認するはずですから、それをやらずに脱走させるという協力はできたでしょう。

　政府が交渉の上で釈放したという意見は無視できないものの、直ちに賛成する材料はありません。こんなことを認めたら、それこそアフガン政府の命取りでしょう。

　明確に判断するには、もう少し脱走に関する情報が必要です。