ミスラタとトリポリの戦況

2011.4.25


 BBCがリビアのミスラタとトリポリの戦況に関する続報をいくつか報じています。

 人々が自宅から誘拐されているという報告がありました。反政府派は、カダフィ軍ミスラタの市中心部と住宅地域3ヶ所を砲撃し、少なくとも6人が死亡したと言います。これは独自に確認されていませんが、ロケットの爆発と自動機銃の発砲が報じられています。政府軍は地元部族が反政府派と交渉する機会を作るために停戦を命じられていると報じられています。

 土曜日にクウェートが反政府派に5,000万ディナール(1億1,000万ユーロ、1億8,000万ドル)を提供すると発表しました。

 ミスラタを出た負傷者を乗せた船が日曜日に、19人の負傷者を含む、900人の避難者を連れてベンガジに到着しました。2,000〜3,000人の人々がミスラタの港湾地域にいて、避難を待っています。

 アブデルサラム(Abdelsalam)という名前の反政府派の広報官は、カダフィ軍が土曜の早い時刻に「無作為の爆撃」を始めたと言いました。住宅地域3ヶ所と戦略的に重要なトリポリ通りを含む市の中心部が攻撃を受け、別の広報官、アーメド・ハッサン(Ahmed Hassan)は少なくとも1人が死亡し、12人が負傷したと言いました。ある住人は沢山のロケット弾が街に撃ち込まれたと言いました。反政府軍は政府軍を街の端へ圧迫し、政府軍が保持していた主要な病院を支配しました。この報告は独自に確認できませんでした。

 NATO軍はトリポリ周辺で土曜日により多くの空爆を行いました。外国人記者は、夕方遅くにジェット機を目撃し、3回の大きな爆発音を聞きました。NATO軍は民間人を守るという国連の任務を始めてから、3,000回の出撃を行ったと言いました。カイロを訪問中の統合参謀本部議長マイク・マレン海軍大将(Admiral Mike Mullen)は、連合軍の空爆がカダフィ軍の地上部隊を30〜40%へ低下させ、紛争が「明らかに手詰まりの方向へ移行している」と言いました。


 誘拐については、誰がどんな人を誘拐しているかという情報はありません。犯人がカダフィ軍だとすると、人質ではなく、戦闘員にするためかも知れません。

 クウェートから反政府派への資金援助は大きな進展です。

 カダフィ軍は街の端まで後退したようですが、現在の最前線は明確ではありません。おそらく、トリポリ通りの青果市場から西へ9kmくらい行くと農地が増えてくるので、この辺だろうと思われます。空港も反政府派が奪取したかも知れません。次はフムス(Al-Khums)までの間の小さな街の争奪戦になります。前線が激しく前後するようならカダフィ軍がまだ健在の証拠です。この地域には開墾地も多く、空爆が有効です。

 反政府派に前線を整理して、部隊を前進させるのがうまい指揮官がいることを祈りばかりです。

 カダフィ軍総崩れの理由は、まだ明確ではありません。


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