エジプト動乱を治めるのは誰?

2011.2.7


 エジプトの動乱に関する情報をいくつか見てみましょう。

 military.comにワシントンを拠点とする戦略・国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)のハイム・マルカ(Haim Malka)のコメントが載っています。「ムバラク大統領が舞台を去れば、課題は軍隊の内外で将軍たちが彼らの利益は包括的で透明な政治システムにより最大限供給されると納得することです」「事件の展開に関係なく、軍隊はその独特の立場を維持しようとするでしょう。問題はいつムバラクが辞めるかよりも、軍のお偉方たちが模索するムバラク後の政治システムの種類です」と言いました。この記事は、ムバラクを辞めさせられるのはエジプト軍だけだと述べています。

 stratfor.comは衛星写真を用いて、アナリストが動乱の様子を解説するビデオ映像を公開しています。地理的な環境がよく分かるので見ることをお勧めします。(映像はこちら

 Google Earthのタハリール広場の映像はデモ以前に撮影されたもので、デモの様子を知ることはできません。(kmzファイルはこちら


 衛星写真を見る限り、エジプト軍の出動は少なく、タハリール広場を国防大臣が訪問したりしていることから、デモ隊との関係は良好です。

 この動乱を決するのは、広場に集まった群衆だけではなく、周囲の環境に大きく左右されそうです。エジプト軍が事態をどう見て、どのような圧力を大統領にかけるのか。アメリカなど、主要な支援国がどのような圧力をエジプトにかけるかなどが、重要な要素になりそうです。当然ですが、それらは我々の目には見えていません。そうした内々での動きに結論が出たときに、変化が見えてくるのかもしれません。しかし、ムバラク大統領が本当に開かれた大統領選挙を実現して退任するのなら、エジプトの民主主義の程度はそれほど悪くなかったのかも知れないということになります。

 エジプトの動乱は決着次第では、「エジプト革命」として、中東の民主主義の曙として歴史に残るものになります。莫大な人口を擁するイスラム諸国が民主主義を自ら選択することは歴史的な変化であり、興奮すら覚えます。



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