リビア軍が精鋭部隊を治安出動か?

2011.2.20


 リビアの動乱が心配な状況になってきました。カダフィ大佐が力に頼った弾圧に乗り出し、多数の犠牲者が出ています。

 状況は変な方向に向かっているようです。

 ワシントンポストの記事によれば、ある病院は15人が死亡し、その内1人は対空ミサイルが頭にあたったとみられます。この兵器は大衆を怖がらせるために使われたとみられます。

 カダフィ大佐の息子の部隊が鎮圧に投入されたと報じられていますが、同紙によると、それはハミス旅団(Khamis Brigade)で、今週早くに、ベンガジ(Benghazi)、ビヤダ(Beyida)といくつかの都市に移動したと住人が言っています。この部隊には外国人の傭兵を含むと見られる民兵が同行しています。青い制服と黄色のヘルメットを着用した民兵の中に、チュニジア人かサハラ以南のアフリカ人と考えられる、フランス語を話す戦士がいたと、目撃者は言います。

 ハミス旅団は、カダフィ大佐の一番若い息子のハミス・カダフィ(Khamis Gadhafi)が率いています。米外交官がリークしたメモは、この部隊は、リビア軍で最良の訓練を受け、最良の装備を持つ部隊だと言います。

 記事は、部隊が派遣されたという住民の目撃談は独立して確認されていないと書いています。別のウェブサイトには、リビア軍の傭兵の映像として、青い制服を着た死体のビデオ映像がアップされました。損傷した死体の映像で、かなり醜悪です。見たくない方は再生しないでください。

 一方で、military.comによるとバーレーンは軍隊を街から撤収し、柔軟な対応をしています。ここに穏健な政府とそうでない政府の差が出ています。しかし、記事は軍隊が広場から離れただけか、基地まで戻ったのかは不明確だと書いています。


 対空ミサイルが本当に使われたかは疑問です。RPGではないかとも考えられます。誘導システムを持つ対空ミサイルは高価ですし、あえて使う意味もない気がします。根拠があるのかを知りたいところです。

 傭兵部隊の映像は見たところでは、手の込んだ作り物ではなさそうです。制服のサイズが死体にピッタリで、その制服を死後硬直で手足が折れ曲がったままの死体が着ているのです。死後硬直は半日程度で全身に及び、1日以上経つと解けていきます。この死体は死後半日程度経っていると考えられますが、こんなのを簡単に細工するのは困難です。この死体が本当にハミス旅団の兵士かは、さらに確認される必要がありますが、報道の信憑性はかなりの程度に高まっています。

 リビアはインターネットを閉鎖したと伝えられていますが、その前に送信されたのでしょう。もしかすると、ネット遮断の直接の理由がこのビデオ映像なのかも知れません。インターネットと内戦は、すでに切り離せないものになったようです。



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