ソマリアの海賊に禁固33年の判決

2011.2.18


 現代の海賊に対する判決が出たので紹介します。military.comによれば、2009年に米国籍の船を攻撃したソマリアの海賊に対して、アメリカの裁判所は禁固33年9ヶ月を宣告しました。

 記事を簡単にまとめます。

 事件は2009年4月8日に起こりました。被告のアディワリ・アブディクアディア・ミューズ(Abdiwali Abdiqadir Muse)と彼の仲間の海賊はマーレスク・アラバマ号(Maersk Alabama)を襲撃して船長リチャード・フィリップ(Richard Phillips)を拘束しました。米海軍が対応し、夜間に3人の海賊を狙撃して人質を解放しました。ミューズは最初に船に乗り込み、AK-47をフィリップ船長に発砲し、船を止めるように命令し、彼をうだるように暑く、閉ざされた救命ボートの中で人質にしました。英語を話すミューズはフィリップ船長を「海の浅瀬で葬る」「アメリカ船を乗っ取るのが好きで、アメリカ人を殺したい」と脅しました。

 昨年、ミューズは罪を認めました。海賊は船長に処刑する真似を行い、裁判長はこれについて、「心理的で肉体的な暴力の最も堕落した行為ですら楽しんだように見える」と厳しく批判しています。

 しかし、ミューズは少年のようで、身長が1.57mと低く、彼の弁護士はミューズは15歳であり、少年として裁判にかけられるべきだと主張しましたが、検察官は少なくとも18歳であると判事を説得しました。


 アフリカには年齢がはっきり分からない人が多いため、こうした裁判ではしばしば問題になります。記事の写真を見ると、15歳よりも年上のようですが、はっきりしたことは分かりません。

 殺害や銃傷を負わせるような暴力を行わずとも、海賊行為でアメリカでは禁固33年という判決が出ることが分かりました。罪を加算する米国法ではこうなるのでしょう。日本では殺人を行わなかった場合は最高で無期懲役です。現在では、仮釈放が認められる時期が長くなり25年だとか言われますが、釈放後はソマリアに帰国させるのでしょうから、刑が消滅するまでの10年間を日本が監視するのはほとんど無理でしょう。



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