エジプト軍が平和的なデモを公認

2011.2.1


 military.comによれば、エジプト軍は平和的な抗議には発砲しないと約束し、ホスニ・ムバラク大統領(President Hosni Mubarak)の追放を迫る「人々の要求の正当性」を認めました。

 エジプト軍の声明は、軍が1週間目の抗議を続けさせ、平和的な限りは成長させ、ムバラク大統領の失脚すら導くかもしれないという強力な兆候でした。82歳で元空軍指揮官のムバラク大統領が軍の支持を失えば、それは彼の統治に致命的な打撃です。この発表は、ムバラク大統領の大混乱を和らげようとする最新のジェスチャーの後に来ました。通りの抗議者と最大の同盟国アメリカは、警察部隊を指揮した内務大臣を外し、抗議者が広範に非難した新しい政府の発表を完全に拒絶しました。

 軍の声明は、軍が抗議者が暴力に関与しない限り、広場から行進することを許すかも知れないと示唆しました。「あなたたちの軍隊は、人々の要求の合法性を認め、国家と国民を守る責任に対する懸念から次のように述べます」とイスマイル・アトマン広報官(Ismail Etman)は声明の冒頭で言いました。彼は、軍は「大衆に対して武力を行使しておらず、行使するつもりはありません」と言い、「平和的な表現の自由は万人に保証されています」と強調しました。しかし彼は、抗議者は「国の治安を不安定にするいかなる行為にも関与してはならない」と警告もしました。

 カイロ市内の銀行、学校、株式市場は2番目の就業日が閉鎖され、現金の余裕を減らしました。前例のないインターネットの完全遮断は4日目です。パンを補充しようとする人たちがパン屋の外に長い行列を作りました。この危機の公式な犠牲者は97人にのぼりましたが、全土から寄せられる目撃者の報告は実際の犠牲者がもっと多いことを示していました。

 バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は週末にかけて、自制し、より反応のよい政府への秩序ある移行という彼の政権の意向を伝えるためにイギリス、トルコ、イスラエル、サウジアラビアを呼ぶと言いました。欧州連合の外務大臣は民主主義への平和的な移行と宗教的な武装勢力による乗っ取りを警告しました。


 記事の前半から重要な部分を選びました。後半には抗議者の中の不一致に関する記述があります。これも重要ですが、とりあえずエジプト軍の意向をまとめることにしました。抗議者に関することは改めて考えたいと思います。

 エジプト軍が強硬な摘発を行わないことを明言したため、ムバラク大統領の命運はほぼ尽きたと言えます。アメリカは内政干渉になることを避けていますが、本音はこの機会にムバラク大統領に退陣して欲しいと考えているでしょう。彼よりはエルバラダイ氏の方が遙かに話しやすい相手だからです。

 暴動にはいくつかのポイントがあります。金融機関が治安不安定のために活動を停止すると、国の経済活動全体が麻痺するだけでなく、関係国の為替・株式市場にも影響を与えるのです。昔なら郵便が止まると、それに依存していた為替も止まりました。金が動かせなくなると、あちこちに弊害が出始めます。これは国家に対して、早急な問題の解決を迫るのです。さらに、最近ではインターネットの停止が加わりました。インターネットに依存しているあらゆるサービスが止まるのです。国家は携帯電話に合わせてインターネットを遮断することで、情報が海外に流れたり、デモ隊同士が連絡を取り合うことを防ごうとします。しかし、これは世界的に大きな話題になることであり、逆効果を生みます。電話と違って、インターネットには様々な形のサービスがつながっており、それらが遮断されることで、国外にも影響が出るのです。外国企業の支点や工場は、本社とインターネットで連絡を取れなくなります。社内システムがインターネットに大きく依存していると、ほとんど仕事はできなくなるわけです。よって、長期間インターネットを遮断することは、ほとんど不可能です。

 オバマ大統領が関係国を招集したのは、すでにムバラク大統領がいなくなった後の調整を図るためです。できるだけ穏健な人たちが新しい権力の座に座るよう、関係国の意向を一致させておくわけです。エジプト人が急進的なイスラム主義に傾倒することはないでしょう。先日、キリスト教徒に対するテロ事件が起きたとき、特定の宗教を狙い撃ちにしたテロを批判したのはエジプト国民自身でした。

 エジプト革命は中東の民主化の先駆けとなるかも知れません。まったく予想しないきっかけにより、思わぬ状況が生まれました。中東の重要国であるエジプトが自主的に民主化するのなら、世界にとっても大きな前進となります。



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