イランは無人偵察機をコピーできない

2011.12.8

 時事通信が6日付けの記事でイランが米軍の無人偵察機撃墜について報じた記事「無人偵察機、イランの手に=国防総省は撃墜説を否定―米報道」の中で、昨日紹介したカービー海軍大佐のコメントを紹介しています。

 しかし、時事通信は「有人無人に関係なく、航空機がある時、それをどこか我々が手に入れられない場所で失うことを我々は常に懸念しています(昨日の記事に一部誤訳があったので修正済み)」を、単に「米軍機が回収不能な場所に落ちることについては常に懸念している」と紹介しました。

 military.comは、撃墜が本当でRQ-170がイランの手に渡っても問題はないという専門家のコメントを紹介しています。

 専門家は、イラン人が無人機の部品を見つけても、僅かしか拾い集められないだろうと指摘します。無人機は高い高度から落下するので、調べられる大きな部品は僅かだろうからです。

 「Lexington Institute」のアナリスト、ローレン・トンプソン(Loren Thompson)は「これは、特殊な形状と特殊な素材で、レーダーを避ける航空機です」「イラン人がステルス機能を持った無人機を造ることはできません」「これらは他の有人、無人航空機が行けない場所に行ける特効薬となるために設計されました。それは敵が追跡して、狙うことを非常に難しくするために特別に設計されました」「これは故障して、墜落した高空を飛ぶ無人機です。沢山の部品に分解するでしょう」と言いました。

 Globalsecurity.orgのジョン・パイク(John Pike)は、イラン人はすでに無人機の外形に関するデータを持っており、「この構造について特に唯一のものはありません」と言いました。「我々はそれらを飛ばすことを止めますか?。そうではありません。我々がそれらを飛ばすのは秘密ですか?。そうではありません」「イランはそれを撃墜しましたか?。多分、違います。イラン人の対空防衛は劣悪で、それは優秀なステルス機です。イラン人のハッカーが進入して、降下させましたか?。いいえ、それを実行するのは難しすぎます」。


 更新が遅れ、申し訳ありませんでした。

 時事通信は「有人無人に関係なく」の部分を省略したことにより、記事全体として、米軍が撃墜を事実上認めたような印象を与える内容となっています。「米軍機」の部分が「無人機」を指すように読めるからです。イランの主張が正しいかどうかはまだ確定されていませんし、カービー大佐は一般論を述べているように、私には感じられました。軍人にとって、飛ばした航空機が無事に戻らないことは常時懸念材料として頭にあるからです。時事通信の省略が意図的なものかどうかは分からないものの、こうした省略が読者に誤解を与える場合が少なくありません。当サイトでも翻訳の際には、完全役と抄訳とを特に断ることなく使い分けていますが、できるだけ分かりやすく、本来の意味を伝えるように注意しています。もちろん、こういう努力が常に成功するとは限りませんが、国内報道ではしばしば省略しすぎで意味が違ってしまう事例が見られます。

 結局、この事件はイランが無人機をハッキングしたのか、撃墜したのかも、まだ確認されていないようです。パイク氏はイランにはどちらをやるのも難しすぎると言います。今後、イランが捕獲した無人機の写真を公開しない限りは、彼らの成果を信じる必要はなさそうです。

 それから、先に無人機は通信途絶の際に自動的に旋回すると書きましたが、基地に戻るようプログラムされているのが本当なので修正しました。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.