女性兵士は対テロ戦により批判的

2011.12.28

 少し前に掲載された記事を紹介します。military.comによれば、「ピュー・リサーチセンター(the Pew Research Center)」の新しい研究が、米軍の女性の退役軍人は男性の退役軍人よりもイラクとアフガニスタンの戦争に批判的であることを明らかにしました。

 この研究は、米軍にいる女性は男性よりもより人種的に多様で、結婚しておらず、管理や医療の仕事を得ている場合が多いことも明らかにしました。このデータは過去2年間に行われた退役軍人の調査、軍の人口構成の分析から得られました。

 女性の約3分の2(63%)はイラク戦は戦う価値はなく、半数以上(54%)はアフガニスタン戦について同じ見方をしています。女性退役軍人の47%はイラク戦について、39%がアフガン戦について同じ見方をしています。

 軍隊の女性は過去40年間で4倍の167,000人になりましたが、戦闘部隊に配属しないというルールが彼女らの役割と仕事を制限しています。戦闘に直面したのは女性の15%だけで、35%の女性は戦闘活動を見たことがあります。

 女性兵士は男性兵処理も30%多く管理的役割に、15%多く医療的役割に集中しています。女性将校も増加しました。

 研究者は現役女性兵士の3分の1は黒人(男性の黒人兵士は約16%)で、約半数の47%の女性兵士が非白人(男性は29%)である点に注目しました。女性兵士は男性よりも未婚の場合が多く、その比率は46%と58%で、彼らの多くは軍人の配偶者を得ています。女性兵士の約半数は現役兵の配偶者を得ています。現役兵と結婚した男性兵士は10%未満です。

 統計上の相違に関係なく、男性・女性兵士は同じ戦いを共有していることが明らかになりました。約47%の女性、42%の男性は軍歴の中で心に傷を残し、苦悩に満ちた体験をすると言いました。9.11テロ事件の後、男性退役軍人の45%、女性退役軍人の43%が民間人の生活への対応が難しかったと言いました。


 非常に興味深い調査結果だと思ったので紹介しました。(引用元の研究記事はこちら

 拙著「ウォームービー・ガイド 映画で知る戦争と平和」では、冒頭から女性と男性の戦争に対する態度の違いから論じたのですが、この調査も男女間の考えの違いをよく表現しているように思いました。

 よく戦争を体験した者でなければ、戦争について語る資格はないと言う人がいます。私はそんな考え方は間違いだと思っています。軍人や戦争体験者、従軍記者・カメラマンだけが戦場の悲惨さを知るわけではありません。むしろ、戦争を体験せずに済ませる努力をする民間人こそ、体験をしないと理解できない者よりも賢明だと言えます。

 その中で、特に女性は反戦を担う大きな人口層だと私は考えます。

 男の陰に隠れて守ってもらおうとする女性ではなく、自ら平和を守る女性が増えて欲しいということは、当サイトの一つの願いでもあります。

 しかし、イラクに自衛隊を派遣した小泉総理のファンに女性が多かったことを、私はゾッとする記憶と共に思い出します。この女性たちは何を考えて、戦争に足を突っ込もうとする総理大臣を支持したのか?。私はそれこそ知りたいと思っています。



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