タリバンがイラク侵略の検証を主張

2011.12.21

 military.comによれば、アフガニスタンの反政府勢力、タリバンが国連とその他の国際機関に、イラク侵攻とイラク人の殺害に関係した米当局者を問題するように要請しました。

 タリバンはメディアに対する声明で、イラク侵攻で役割を担った者たちを裁くよう訴えました。「イスラムの祖国でアラーの祝福により侵略者の背骨は折られ、遂に手ぶらで逃げるしかありませんでした」とタリバン広報官、ザビウラ・ムジャヒッド(Zabiullah Mujahid)は言いました。「アメリカ人がイラクを去った仕組みと状況を知っていることは大事です」。この反政府運動は国家資産、歴史的遺産、インフラを略奪し、破壊した後にイラクを去ったとアメリカを非難しました。「これらすべてにも関わらず、150,000人の虐げられたイラク人がアメリカ人に殺されました」と声明は言いました。

 今月、米軍は9年間のイラクでの戦闘任務を終了しました。大人数の大使館職員と外交官が世界最大の米大使館の一つに残っています。


 タリバンが国内の武装勢力から一向に成長しないところが、この声明に現れています。メディアに対する声明で宣言したところで、国連がこんな調査を始めるわけがありません。タリバンは政治組織として国際社会に認められることを望んでいるのですが、こんなことを繰り返しているようでは駄目でしょう。国連に使者を送れないのなら、仲介してくれる国に派遣するという手があります。

 イラク侵攻の検証はアメリカ自身が自発的に行うべきです。また、日本人は自衛隊のイラク派遣について検証を行うべきなのです。アメリカについては、様々な立場の研究者が発表していくでしょうが、日本ではうやむやにして終わりそうです。日本にはおかしな風潮があって、ある分野の最高の専門家はその分野を管轄する省庁であるとの見方が強いのです。つまり、経済問題なら財務相の見解がすべてという考え方です。しかし、福島第1原発のメルトダウン事件を見れば分かるように、経済産業省なら原発問題をすべて掌握しているわけではありません。同様に、防衛問題に関しては防衛省が言うことがすべてであるという風潮もあります。だから、第三者的な見解が出てきにくいという問題があります。民間にも、軍事問題を扱う団体はほとんどありませんし、あっても政府の息がかかった組織だったりします。



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