イランが無人機からデータを回収?

2011.12.13

 military.comによれば、イランの専門家たちは捕獲したアメリカの無人偵察機からデータを回収する最終的段階にあると、月曜日に国営テレビが報じました。

 議会の国家安全保障・外交政策委員会のパルビズ・ソロウリ議員(Parviz Sorouri)は、入手した情報は無人機による侵入についてアメリカに訴訟を起こすために使われると言いました。ソロウリ議員はイランにはリバース・エンジニアリングによって無人機を再現する能力があると言いましたが、詳細は述べませんでした。

 米当局者は、無人機のレーダー偏向塗料や化学組成やオペレーターが高空からテロ容疑者を特定できるようにする航空機の高度な光学技術を解析されることを懸念しています。彼らは敵が無人機のデータベースをハッキングされることも懸念していますが、データが回復されたかは不明です。一部の偵察技術はビデオ画像を地上のオペレーターに流しますが、データの多くを格納しません。そうする場合、それは暗号化されます。

 ISNA通信社へのコメントでソロウリ議員は、イランがすぐに世界の石油タンカーの40%が通るホルムズ海峡を封鎖する海軍演習を行うと言いました。ソロウリ議員のコメントや、アメリカやイスラエルがイランの核施設に手を出せば水路を危険にさらすというイランの過去の脅迫は、公式に発表されていません。「世界がイランを攻撃するなら、イランは世界を危険にさらします」とソロウリ議員は言いました。


 イランが回収するというデータが何かが疑問です。記事もその点を指摘しているようです。

 先に紹介したように、ビデオ映像は人工衛星を通じてオペレーターに送信され、そこでハードディスクに録画されます。かつては暗号化せずに送信して、イランの支援を受けた武装勢力が傍受していたことが明らかになっています。この事件以降、ビデオデータも暗号化されるようになったと聞いています。イランが回収するというのは,このデータだと思われますが、送信したデータから順番に消去されるので、それほど多くは機体の中にはないだろうと考えられるわけです。それを解析して、どれだけの成果があるのかは疑問です。

 それよりは、イランがほぼ完全な機体を手に入れたことで、ステルス機能を持つ機体の形状をリバース・エンジニアリングで再現できるようになった点が大きいと思われます。風洞実験で機体の設計コンセプトを把握できれば、似たものを作る作業は大きく前進します。

 訴訟と海軍演習の話は単なる脅しで、あまり重要ではないと考えます。



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