基地の位置は連絡済みとパキスタンが抗議

2011.11.29


 military.comによれば、NATO軍がパキスタン軍兵士24人を殺害した事件の詳細が分かってきました。パキスタン軍はNATO軍の攻撃は2時間近く続いたと主張しています。

 NATO軍の攻撃はほとんど2時間続き、パキスタン軍指揮官が連合軍に中止を嘆願した後も続いたと、パキスタン軍は月曜日に主張しました。

 NATO軍は事件を「悲劇的で意図したものではないと表現し、完全な調査を約束しました。匿名のアフガン当局者は、アフガン軍とNATO軍の合同軍が国境のアフガニスタン側でパキスタン軍基地の方向から攻撃を受け、空爆を要請したと言いました。

 パキスタン軍広報官、アザル・アッバス少将(Maj. Gen. Athar Abbas)は、2つの基地にいたパイスタン軍は正当な理由のない攻撃の犠牲者だと言いました。彼は攻撃はほとんど2時間続き、指揮官は攻撃の間にNATO軍に接触し、攻撃を止めるように依頼しましたが、攻撃はしばらく続きました。

 正当な理由のない攻撃の犠牲者だと主張することで、パキスタン軍はストーリーを強化しています。

 アッバス少将は、アフガン・NATO軍が最初に攻撃を受けたというアフガンの主張を否定しています。「現時点で、NATO軍とアフガンは言い訳をすることでこの状況から逃げだそうとしています」「どこに彼らの犠牲者がいますか?」。

 アッバス少将は、「火山(Volcano)」と「黄金(Golden)」と名付けられた2つの軍基地は、アフガン国境から約300ヤード(約274m)離れたモーマンド地区(Mohmand region)の稜線の上に位置していたと言いました。彼はこれらの正確な位置はNATO軍に提供されていて、この地域は最近、武装勢力を掃討していたと言いました。


 最初の記事では検問所(checkpoint)と書かれていましたが、この記事では基地(post)と表現が変わっています。また、稜線上にあったということからも、監視所と考えた方がよさそうです。検問所は幹線道路に設けられるものであり、普通それは稜線上にはないものだからです。また、検問所なら民間人の犠牲者がいてもおかしくありません。つまり、NATO軍が攻撃したのは国境を監視するための監視所であった可能性が高いことになります。国内記事は「検問所」と書き続けていますが、注意が必要です。毎度のことですが、国内報道ではこういう間違いが訂正されることはほとんどありません。

 これはパキスタン軍が言うとおり、場所がNATO軍に通告されていた可能性が高く、NATO軍の落ち度が大きいことになります。

 しかし、状況はまだ不明な点が多すぎます。使われた武器は何だったのでしょうか?。どれくらいの弾薬が攻撃に使われたのでしょうか?。さらに詳細が判明しない限り、この事件を評価することはできそうにありません。



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