低高度空中投下でIED攻撃を避ける

2011.11.19


 military.comによれば、道路脇に設置されるIED(即製爆弾)の脅威によって、アフガニスタンの補給指揮官は地上部隊に補給するために、安価で使い捨ての貨物用パラシュートと衛星誘導による空中投下を大幅に増やしました。

 米陸軍は今週、2011年会計年度中に8,500万ポンド(38,555トン)の荷物をアフガンで空輸したと報告しました。今年初めに「Defense Industry Daily」が報告した数字によれば、それは2006年に空輸された350万ポンド(1,587トン)の約24倍です。この夏、アフガンでは1,600回以上、道路脇のIEDによる攻撃がありました。

 空中投下される補給品の多くは「低費用低高度パラシュート(Low-Cost Low-Altitude parachute)とよばれる安価で使い捨てのパラシュートをつけられ、上空150フィート(45,7m)を飛ぶ航空機から投下されます。前会計年度に、250万ポンド(1,133トン)がそうしたパラシュートで投下され、陸軍によれば前年の2倍となりました。

 低高度の空中投下は200ドルのパラシュートを使い、それぞれが200ポンド(90kg)の補給品を運べます。投下する高度が低いので、従来のシステムよりは正確です。以前の投下システムは、兵士が戦場から持ち帰り、空軍へ戻されることになっている、より高価なパラシュートを使います。それは兵士の作業を減らし、回収作業中の兵士の露出時間を減らします。しかし、低い高度で飛ぶことは航空機を敵の攻撃にさらす危険があり、指揮官はそれを考慮する必要があります。
 空軍は全地球測位衛星を上部隊に降ろす補給パラシュートを誘導する小さなモーターに接続するシステムを使うことを増やしています。空軍はそれらの使用を昨年の100回から月に40回に増やす計画です。「統合精密空中投下システム(Joint Precision Air Drop System)」は投下ゾーンの座標、風速と方向などのデータを入力したラップトップを装備したナビゲータに可能性を与えます。システムはナビゲータに投下する場所を教えます。システムのモーターは、スカイダイバーがパラシュートを効果ゾーンへ誘導するのと同じ方法でパラシュートを制御します。目標は直径150m以内の円内に衛星誘導パラシュートを落下させることでしたが、直径80mに80%を、100m以内に100%を落下させるほどうまく機能しています。

 衛星誘導システムは輸送機を高度25,000フィート(7,620m)を飛ぶことを可能にします。この高度は武装勢力の手が届きません。また、効果ゾーンに向けて最大で16マイルの位置から飛行できます。GPS誘導パラシュートに稜線を越えさせて、峡谷へ落下させ、前線作戦基地へ入れることができます。1回の通過で2ヶ所の基地に補給できます。このシステムの費用20,000ドルで、最大2,200ポンド(998kg)の貨物を運びます。緊急の場合、システムの半分の価値を回復するために8ポンドの航空電子工学部品を取り外す必要があるだけです。

 横田空軍基地の第36航空輸送隊のジェレミー・ハーグ大尉(Capt. Jeremy Hague)が、GPS誘導パラシュートの利点は視認される危険が低く、目標に到達することだと言いました。「我々は雲の上でパラシュートを投下でき、自分で誘導して目標に命中します」。最近イラクとアフガンに派遣され、富士山の下でGPS誘導パラシュートの演習をしたハーグ大尉は低高度投下はより刺激的だと言いました。先月、6機のC-130輸送機が低高度パラシュートに取り付けられた砂袋を投下するために横田空軍基地に急降下しました。「荷物を投下している場所を下に見ながら、統合精密空中投下システムが投下地点へ誘導して、荷物を投下するのは刺激的です」とハーグ大尉は言いました。


 このシステムの映像が見つかりました。

 これは戦術の変化による兵器の変化です。非常に優れたシステムが採用されたようです。

 しかし、アフガン戦が終わろうという時に、ようやくこの変化が来たのは皮肉です。補給の問題は大きく、長きにわたって米軍の弱点となってきました。

 この訓練を日本で行っているのを不思議に思う方は、日米安保条約が、日本からアメリカに基地用地などを用意する便宜を払う条約であり、日本を守るのは基地を置かせてもらうためのお礼だという点に気がつかなければなりません。



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