105mm榴弾が新型に置換の予定

2011.11.18


 昨日紹介した「M1130E1事前形成破片ベースブリード榴弾(High Explosive Pre-Formed Fragments, Base Bleed: HE PFF BB)」について、military.comの記事を簡単に要約しました。

 M1130E1は、装薬「XM350」と共に、4種類の既存の砲弾(M1、M760、M927、M1130)と2種類の装薬(M67、M200)に取って代わります。M1130E1はM119榴弾砲から発射され、兵員やトラックのような中程度の目標に対して用いられます。それは105mm榴弾砲部隊すべてに増加した戦闘効率を提供し、アフガニスタンのような起伏の激しい地形で活動する小部隊の任務を支援します。105mm砲弾は弾頭、薬莢、雷管、装薬で構成されます。

 現行の砲弾と装薬は1.4〜16kmの射程をカバーしています。しかし、M760ではM1がカバーできるより近い距離は撃てず、4種類の砲弾がすべて射撃位置にある必要があり、これがM1130E1一種類で済むようになります。このため、M1130E1とXM350は補給物資の量を50〜75%減らせるでしょう。

 M1130E1はすべての射程をカバーし、最大17kmまでの追加の射程を加えるために、M1130砲弾とXM350装薬を一体化します。XM350はセント・マークス・パウダー社(St. Marks Powder)の高性能、低火炎温度のハイブリッド型装薬の長所を得て、M67とM200の両方の最小から最大の射程をカバーします。

 M1130は、補給の荷物を大きく減らすことに加え、ダウンレンジ性能を犠牲にすることなく同様の射程を実現するために、より空気陸学的な形と共に信頼できるベースブリード(ロケット推進)も用います。M1130は、より良好に破片を散布する弾頭を持つため、M1(HE弾)よりも2〜4倍の向上した能力を示します。

 陸軍は2012年早期にM1130とM67をM1130E1とXM350に置換する予定です。


 M119榴弾砲の映像を探したら、砲兵隊員らしい人が投稿した映像が見つかりました。砲兵隊員の自己満足のために作られた映像で、余計なものも含まれていますが、発射や着弾の様子も見られる便利な内容です。

 ゼネラル・ダイナミクス社のウェブサイトの説明では、「Pre-Formed Fragments」はタングステン弾が砲弾の内部に装着されていて、これが散らばることで敵を殺傷することが分かります(説明文はこちら)。ベースブリードは、砲弾が撃ち出された後で、砲弾の後方に発生する空気の渦を押さえるために

 しかし、重要なのはより高性能の装薬を用いたことです。同じページからリンクされている資料では、M119榴弾砲は次のように弾頭と装薬を使い分けなければいけないことが分かります(資料はこちら)。砲兵の一番の問題は、適切な砲弾と装薬、信管の組み合わせを、正しい場所に撃ち込むことです。間違えば友軍に被害を出しかねません。だから、作業を単純化できることには大きな意味があります。

図は右クリックで拡大できます。

 武装勢力が相手の戦いでは、強力な砲弾を使うよりは、より小型で砲を短時間で設置、移動できる小型の砲が便利であり、輸送が難しい地形では運搬の便利な弾薬が使いやすいのです。M199榴弾砲もCH-47のような運用機数の多いヘリコプターで運べるという利点があり、対武装勢力戦には155mm榴弾砲より使いやすいのです。

 砲弾などの更新は滅多に行われることではありません。優秀な弾薬を長期間に渡って使う方が費用対効果の点で有利です。

 米軍がより武装勢力への対処能力を高めようとしていることが分かります。これこそが戦術の変化による兵器の変化です。先日、AK-47小銃の調達打ち切りに関する記事を批判しました(記事はこちら)。長射程での戦闘が増えたことが理由で、現行の小銃が使われなくなるようなことはありません。M1130E1への更新こそ、現代の戦争の変化を代表していると言えます。



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