パネッタ長官がドーバー基地の事件を追及

2011.11.12


 このサイトで取り上げた記事は、その後に発展する場合が多いのですが、military.comによれば、ドーバー空軍基地の遺体処理の問題で、レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)が、空軍に処罰をさらに厳しくするよう検討せよと命じました。

 「愛する者が相応しい名誉と尊厳を守るために、私たちが可能なすべての手順を踏んでいると英霊の家族に証明するまでは、満足する者はいないでしょう」とパネッタ国防長官は記者会見で言いました。

 空軍参謀長のノートン・シュワルツ大将(Gen. Norton Schwartz)は木曜日に議会委員会で、2009年の事件当時、ドーバーの葬儀場を指揮した、ロバート・エドモンドソン大佐(Col. Robert Edmondson)は戒告状を受け取ったと言いました。彼はシャウ空軍基地(Shaw Air Force Base)で部隊指揮を拒否され、将来、どのような指揮権も与えられないでしょう。

 ドーバーの2人の民間監督、トレバー・ディーン(Trevor Dean)とクィントン・キール(Quinton Keel)は、給与の減額を受け、ドーバーで監督をしない仕事に異動させられました。彼らはまだそこで働いています。3人は空軍を通じて、この問題に関するコメントを拒否しました。

 パネッタ長官は、マイケル・ドンリー空軍長官(Air Force Secretary Michael Donley)にこれらの懲罰が適正かを調査し、報告するように命じたと言いました。

 2日前、パネッタ長官は空軍をその調査の徹底さについて称賛し、科せられた処罰を支持すると言いました。何が彼をより懐疑的な見方にして、ドネリー長官により厳しい罰を再考するように命じたかについて尋ねられると、彼は空軍が完全な責任を認めなかったことを厳しく批判した特別検査部(the Office of Special Counsel)の報告書を指しました。

 連邦政府の独立した調査局である特別検査部は、空軍がドーバーでなされた誤りがどんな法律、規範、規則にも違反しないと断定したのは不合理だと言いました。そして、懲戒処分は不十分であると言いました。

 ドンリー長官はパネッタ長官の記者会見の後で、「非常に詳細で綿密な」懲戒処分の評価を約束する短い文章の声明を出しました。「我々が遺憾に思う、ドーバーでの我々の基準の誤りは我々に修正する義務があります」とドンリー長官は言いました。

 「私を含めてすべてのアメリカ人は、外国の戦場で死んだすべての兵士が埋葬前の本人確認と処理のために連れてこられるドーバー葬儀場での深刻な誤ちに関する空軍の報告書によりまったく困惑させられました」とパネッタ長官は言いました。彼はドンリー長官とシュワルツ大将が彼が7月に国防長官になった直後に調査の状態を説明したと言いました。

 「我々は完全な説明を届けるつもりです」と彼は言いました。

 今週早く、パネッタ長官は葬儀場で手順がどのように改善されたかについて独立した評価を発表しました。彼は元軍医総監のリチャード・カルモナ(Richard Carmona)を60日間の調査を担当するために配置しました。

 2010年5月に始まり、2011年3月に完了した調査の中で、空軍はアフガニスタンで殺された米兵の遺体から身体の一部が2009年4月と2009年7月の2つの出来事で失われたという3人のドーバーの告発者の訴えを認めました。

 告発は、2010年1月に死亡した海兵隊員の突き出た腕の骨が、家族に見せるために遺体を制服に合わせるためにノコギリで切り取られたとも言いました。家族は骨を除去する許可を求められず、その後も知らされませんでした。

 「明らかに受け入れがたい間違いがありました」とシュワルツ大将は上院軍事委員会で言いました。「彼らが違法行為を構成したかは、まったく別問題です」。

 クレア・マカスキル上院議員(Sen. Claire McCaskill)は、彼女がシュワルツ大将とドンリー長官に事件を調査した空軍監察官を調査するよう要請したといいました。彼女は監察官のマーク・E・ロジャース中将が事実に対して先入観なく焦点をあてて調査したかに疑問があると言いました。


 コメント類で重要ではないものは省略しました。

 かなり前から大事になっていたのに、先の記事は短すぎます。それに、事件はさらに醜悪で、素人みたいな措置が取られていたことは衝撃的です。

 外傷で死ぬ人が多い軍人の場合、記事中の海兵隊員みたいに骨が身体から飛び出ている場合もあります。こういう場合にどうするのが適切かは、現場で適当に処置するのではなく、適切な方法を開発すべきなのです。民間の葬儀屋の手法や軍の礼法を参考にして、マニュアルを作るのです。遺族は家族が死んで悲しみの最中です。その際に、遺体を切断するかどうかを決めさせるのは残酷だと言えます。こういう場合は無許可で処置してもよいとか、処置の方法をどうするかといったことを研究すべきなのです。

 素人葬儀屋は慣例だったに違いありません。制服にうまくおさまるように身体を切断する措置は、必要に応じて行われていたのでしょう。なぜ問題が大きくなるまで放置されたのかは、アーリントン国立軍人墓地での事件と共通点があるように思われます。改善できたはずなのに、誰もそうしようと思わなかったのは、職務が閑職だという負い目があったからかも知れません。

 ここに戦争という問題の不思議な側面があります。人々は兵士に敬意を持っているというものの、死んだり負傷した場合のケアがいい加減なのです。アメリカでもそうですし、日本でもそうです。新聞は南スーダンに自衛隊を派遣するのなら、武器使用の制限を緩和しろと叫びますが、負傷したり死亡した場合の措置について意見を述べたことはありません。また、述べたとしても、それほど深刻なものではないと想像できます。こうした人間の無責任さこそ改善されるべきだと考えます。



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