パネッタ長官がNATO軍に警告

2011.10.6


 military.comによれば、レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)は水曜日にNATO国防省会議のスピーチで、アメリカは大きな予算削減に直面し、リビアとアフガニスタンでのNATO軍を苦しめている大きな不足を補うことはできず、重荷をより共有すべきだと警告しました。

 「もし、現在の傾向が続くなら、かなりの重荷を引き受けているアメリカなしで、NATOが再びリビアとアフガンで見ているような作戦に耐えられるかという合理的な疑問があります」「同盟国がこうした作戦の遂行を成功させた能力を減らすならば、悲劇的な結果を見るでしょう」。

 米国防総省は今後十年間で4,500億ドルの予算削減に直面しているため、同盟国はアメリカがNATO軍の不足を補い続けられることを前提にできませんと、パネッタ長官は言いました。他の国々も同様の圧力に直面し、彼は諸国は任務を続けるために能力を削減したり共有したりする必要があると言いました。「我々は、暗闇の中で隣人と同盟国から撤退し、孤立して軍事態勢と軍の削減に関する決定をすることはできません。


 記事はまだ続きますが、時間がないために省略します。

 パネッタ長官はリビアでのNATO軍の任務継続を望むと発言し、今日は反対のことを言っているようです。しかし、これでアフリカ軍司令官のハム大将がリビア作戦の縮小についてコメントした理由が分かりました。どの道、長期的には米軍は戦う相手を減らす必要があったのです。ハム大将は率直にそれについて触れましたが、実際にはパネッタ長官が言うように長期的な軍事活動の削減が米政府内で決定されていたわけです。矛盾しているようでも、両者の言い分は同じ方向を向いているのです。

 リビアの活動ではむしろヨーロッパ諸国の負担が大きいはずですから、パネッタ長官が言うのは、やはりアフガンでの負担でしょう。ある意味では勝手な言い分です。元々、アフガン侵攻はイラク侵攻で失敗したブッシュ政権が代案として実行したものであり、軍事的な評価では落第点です。これは目的と手段が合致しておらず、高額の戦費が必要でした。イラク侵攻ではアメリカに反対したフランスとドイツも、罪悪感があったのかアフガン侵攻には賛成し、治安任務という耳障りのよい看板を掲げてゲリラ戦へ突入しました。そして今、各国は高額の戦費に加えて、経済危機を迎え、無責任にもアフガンから逃げようとしているわけです。この撤退は是が非でも成功させないと、各国は極めて余裕のない財政状況に置かれ、現在の地位から滑り落ちていくことになります。これが国家の身勝手な性格の一つであることを、我々は忘れてはなりません。

 残念ながら、日本では小泉政権の自衛隊のイラク派遣に関する総括は行われず、マスコミもほぼ取り上げていません。昨日のNHK朝7時のニュースで、トップ記事はiPhone4S発売でした。私は失笑してしまいました。この時期に、スマートフォンの発売が代表的テレビメディアのトップニュースなのです。iPhoneは便利で、私も使っていますが、他に報じるべきことがあるだろうと思いました。精々、経済ニュースの中で紹介する程度で十分です。トップニュースは今朝までの世界と国内政治の動向から始めるべきです。私には目の前で、大きな歴史の動きが起きていると思えるのですが。



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