暫定政権軍がシルトに攻勢を開始

2011.10.4


 昨日は記事を更新できずに申し訳ありませんでした。BBCによれば、シルト(Sirte)に暫定政権軍が新しい攻勢を開始しました。

 ロケット砲と戦車の集中砲火が2日間、戦いが静まった後で街の中心部へ向けられていました。数百人以上の民間人が街から脱出しましたが、人道活動家は数千人が逃げられないか、その意思がないと懸念しています。

 国家暫定評議会軍は過去3週間、彼らに抵抗してきた体制支持者を追い払うために、彼らの砲兵隊の大半を持ち込みました。しかし、彼らは前進するのが難しいとまだ理解しているところだと、BBCのジョナサン・ヘッド記者(Jonathan Head)は言います。彼はシルト郊外の残制定権の戦線にいます。

 現地のある指揮官はBBCに、シルトに対する最終的な攻撃の始まりであると言いましたが、彼はそれがどれくらい続くかが分かりませんでした。

 数百人の街の住人が月曜日に過積載の車で去りました。目撃者は数千人がシルトに残っており、一部は負傷し、車やガソリンがなく、一部は脅えすぎて家を出られないだけでした。

 新しい攻撃を始める前に、暫定政権軍は残っている民間人が出るために、日曜日まで休戦を守りました。

 NATO軍当局者はカダフィ支持派のテレビ局が、NATO軍のヘリコプターが撃ち落とされたという報道を否定しました。

 南部のセブハ(Sabha)では、国際移住機構(the International Organization for Migration)が1,200人のアフリカ人移住者を避難させています。彼らはカダフィ軍から先月拘束されました。

 15台のトラックがチャドに向かう途中のニジェールへ出発しました。チャドの国際移住機構の責任者、カシム・スフィ(Qasim Sufi)は、このグループが11ヶ国の異なる国の人々が戦いの街の交通の中心地に閉じ込められた後で「とても安堵しているところ」ですと言いました。戦いはグループを中心地から出したり、セブハで彼らに補給品を持ってくるのを妨げました。多くのアフリカ人は彼らが傭兵だと疑われ、暫定政権軍にかなりの敵意を持って扱われたと不平を言いました。

 military.comによれば、リビアの軍事任務はほとんどが終了し、NATO軍の関与は今週、ブリュッセルで行われる会議の後で縮小されます。

 アフリカ軍司令官のカーター・ハム陸軍大将(Army Gen. Carter Ham)は、今週末に行われる会議で、NATO軍の閣僚に状況評価を出す予定だと言いました。

 ハム大将は、国家暫定評議会とその軍隊はNATO軍の任務が終わる前に人口密集地域に「十分な統制」があるべきだと言いました。彼は、彼らは現在、その近くにいると言いました。

 NATO軍がその決定を下す時、ハム大将は米アフリカ軍へ航空と海上の活動の継ぎ目のない転換があるべきだと言いました。

 以降は省略しますが、簡単にまとめると、ハム大将は以下のようなことを述べました。

武器貯蔵所を監視するために、無人偵察機のような情報収集手段をリビアに維持します。

特に、暫定政権に要請されない限り、おそらく、空襲は終了するでしょう。

NATO軍はカダフィ大佐が見つかるまで任務終了を待つ必要はありません。

現在の目的は、アメリカがリビアと大使館の職員、リビア人がアメリカに望む治安維持のための議論を含めた、通常の軍同士の関係を確立することです。

軍の訓練やその他の軍事援助はアラブ諸国の方が適しており、アメリカの役割はありません。

アメリカはリビアの沿岸と洋上の領域を確保することを支援できる場合があります。

リビアにいる米軍は、恐らく大使館で職員と保安担当として働く2ダース以下の兵士だけです。

 それから、military.comが、統合参謀本部議長マイク・マレン大将(Adm. Mike Mullen)が退任したことを報じています。


 時間がないので簡単にコメントします。

 新しい攻勢はまだ地上部隊の突入には至っておらず、市民が逃げる猶予を確保した後で、砲爆撃を行っているところです。明日か明後日には進撃が始まるでしょう。週末にNATO軍が会議を行うと言っているのは、今度の突撃でシルトが陥落するとの見込みが立っているためだと考えられます。

 しかし、ハム大将が空爆が終了するとの見込みは、まだ早いような気がします。実際に、空爆はシルトで続いているようですし、バニ・ワリドでも同じでしょう。両都市への突入が失敗すれば、空爆が再開することになりかねません。

 また、ハム大将の発言には、今後のリビア政策の片鱗が見えていますから、記憶しておくべきです。

 市街地への攻撃が増えているので、民間人に対する被害が予測され、実際にそういう証言が出ています。誤爆の報告をNATO軍は、以前は逐次行っていました。最近はほとんどしていませんから、カダフィ軍と民間人が混在していることを承知で攻撃している可能性はあります。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.