カダフィ大佐はリンチで死亡か?

2011.10.22


 BBCがカダフィ大佐死亡の記事は、さらに更新されたようです。その中から新しい事実を紹介します。更新された部分は太字にしてあります。

 木曜日の早い時刻、カダフィ大佐は第2地区から車列で主要な支持者と共に逃げようとしたようです。 現地時間午前8時30分頃、NATO軍の任務の一部として活動中のフランスの航空機が、シルトを出て街の西方約3〜4km(2マイル)の西の環状交差点近くにいる75台の車列を攻撃しました。

 NATO軍によれば、第一撃が一台を破壊し、車列をいくつかのグループに分散させました。

 それらのグループの一つは、カダフィ大佐を運んでおり、南へ向かい、再びNATO軍戦闘機に攻撃を受け、11台が破壊されました。

 ビデオ映像は彼の死体がミスタラの通りで引きずられたように見えました。

 国連人権高等弁務官、ナヴィ・パイレィ(Navi Pillay)は、完全な調査がなされなければならないと言いました。彼女の広報官、ルパート・コルヴィル(Rupert Colville)は「彼(大佐)が生きているのと死んでいるのとの2本のビデオ映像があり、これら2本の携帯電話の映像の間に起きたことについて、4〜5つの異なる見解があります。それは明白に極めて大きな懸念を引き起こします」とBBCに言いました。


 記事には衛星写真から作成した地図が載っていて、カダフィ大佐が空爆を受けた場所と拘束された場所を示しています(kmzファイルはこちら 空爆の場所拘束された場所)。空爆の現場は、昨日分かった環状交差点から南西に1.4kmの場所です。

 地図はカダフィは拘束された後、シルトの病院ではなく、ミスラタへ向けへ運ばれ、その途中で死亡したことを示しています。シルトの病院に連れて行けば短時間で治療を受けさせられたのに、わざわざ200km近く離れたミスラタへ向かったのは、理由が分かりません。ビデオ映像を見る限り、大佐は応急処置すら受けていません。また、経緯は不明ですが、激高した市民が集まり、大佐はその中に放り出されてリンチに処されて死亡したと考えられます。

 これは明確なジュネーブ条約(国際人道法)違反なのです。国連人権高等弁務官が問題視するのは当然です。人権団体アムネスティ・インターナショナルも戦争犯罪との見解を出し、完全な調査を主張しています。

 事態は昨日私が推定したものに近いようです。繰り返しますが、「復讐」はイスラム国が乗り越えるべき重要な障壁です。イスラム教自体が復讐を義務としているため、それは極めてむずかしい課題となっています。



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