G・クロースがオーナーズ大佐を批判

2011.1.7


 military.comによれば、エンタープライズ艦内で不適切なビデオが制作されていた問題で、女優のグレン・クロース(Glenn Close)が発言しました。

 このビデオの中に4年前に同艦を訪問したクロースが写っていたのです。火曜日に出された声明の中で、クロースは自分の映像が使われたのは不愉快で侮辱的と主張しました。1995年にクロースは、レズビアンであると公言して除隊になった陸軍将校マーガレット・カマメーメイヤー(Margarethe Cammermeyer)を描いたテレビドラマ「Serving in Silence」に出演しました。

 元軍人の舌禍事件がさらに報じられています。

 military.comによれば、映画「フルメタル・ジャケット」でハートマン軍曹を演じた退役海兵1等軍曹R・リー・アーメイ(Gunnery Sgt. R. Lee Ermey)は、12月10日にインディアナ州ハモンド市で行われた「Toys for Tots」のイベントで、訓練教官のような勢いでオバマ政権を批判したことを公に謝罪しました。

 このイベントの中で、アーメイはオバマ政権の財政政策を「まったくのクズ」と言いました。「いま、私は誰かを責めることを嫌っていますが、現政権はおそらく山ほどそれをやりました」「私が思うに、彼らはこの国を屈服させるまで止めようとしません」「彼らはこの国を破壊しようとしているのだから、(大衆は)立ち上がり、この政権がやっていることを止めるべきです。彼らは社会主義を我々に押しつけようとして、これを彼らはこの国が破産するまでやろうとしています」。その後、アーメイは態度を変え、自身のウェブサイトに投稿した謝罪文の中で「私は大統領を不適切に批判する話をしたことを後悔します」「私は面白くしようとして、今回は単に行き過ぎました」「私のコメントは見当違いで、感情的でした。心から誤ります」と書きました。(アーメイのサイトはこちら


 私が最初にビデオを見たときには記憶に残らなかったのですが、確かにクロースはビデオの中に出ていました。私は前後の映像は記憶があるのに、クロースが出ているシーンだけなぜか記憶にありませんでした。多分、数秒間目を逸らし、この映像を見なかったのだと思われます。

 クロースは米海軍に自分の映像の使用料を請求すべきかも知れません(笑)。

 それは冗談として、アメリカの俳優にとって同性愛に理解がないことは今や致命的なこととなっています。映画界も数十年前は同性愛を笑いの種にするくらいのことしかしていませんでした。その後、アメリカ社会の認識は大きく変わり、映画界も同性愛を尊重するようになったのです。芸事と政治は別と考えるのが一般的な日本と違い、アメリカでは政治意識の低い俳優は評価されません。だから、クロースがコメントを出したのは当然であり、ここで沈黙しているわけにはいかなかったでしょう。

 これはゴシップの類ではありません。連邦職員が肖像権を理解もせずに、有名俳優の映像を無断使用したのです。オーナーズ大佐の処分に、これが含められるのは言うまでもありません。

 「Toys for Tots」は、海兵隊予備役によって運営される、恵まれない子供たちに玩具を送る奉仕団体です。アーメイは映画出演やヒストリーチャンネルの「ガニー軍曹のミリタリー大百科」のような番組でも知られる人物です。そういう人が大統領を感情に任せて罵倒するようでは困るということです。本人もすぐに間違いに気がついたようです。

 一連の事件から、軍人は誰かを楽しませようとして気を利かせない方が無難のようです。それは楽しみではなく、災厄を生んでいます。意見を言いたいのなら、穏やかな気分の時に、理性的な意見だけを口にすることです。健全な議論を楽しみましょう。



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