アフガンでIEDによる被害が増加

2011.1.29


 military.comによれば、昨年アフガニスタンでIEDで殺された米兵は268人で、国防総省が新しい対策を採用したにも関わらず、前年よりも60%増加しました。

 同時期にIEDで負傷した米兵は3,366人で、2009年の1,211人よりも178%増加しました。防衛当局者は、犠牲者の増加は米軍のアフガン増派が原因としています。戦闘は特に南部と東部で増加しました。国防総省の統合即製爆発物対策機関(Joint Improvised Explosive Device Defeat Organization)は年末の統計すべてが悲観的というわけではないと言いました。

 6月と7月における激しい戦闘の間に35%のIEDの爆発が米兵を死傷させました。進行中の暴力行使と大量のIED攻撃にも関わらず、この数字は12月には36%に下落しました。2001年10月にアメリカ主導の侵攻から、アフガンでIEDによって619人の兵士が殺され、別の5,764人が負傷しました。総合的には、開戦以来少なくとも1,370人の兵士がアフガンで殺されました。昨年は間違いなく、米軍を含む外国部隊にとって最悪で、702人が殺され2009年の504人を上回りました。

 統合即製爆発物対策機関の指揮官、マイケル・L・オタス陸軍中将(Army Lt. Gen. Michael L. Oates)は、追加の爆発物センサー、爆発物分析家とIEDと特別に訓練された犬がIEDを戦うのを助けると言いました。米軍のアフガン増派に関連する事件数の増加に関わらず、国防総省はIEDとの戦いに進歩を見たと言いました。

 7月にアフガンを訪問した時、アシュトン・カーター国防次官(Undersecretary of Defense Ashton Carter)は、ワシントンはIEDと戦うのに30億ドルを費やしたと言いました。たとえば昨年、国防総省は兵士に特定の地域の鳥の目を与える偵察用繋留気球34基を買い、フルモーションのビデオ映像という利点があるルート警戒のためにさらなる無人偵察機を送るのに4億9,500万ドルを提供しました。国防総省は5,000台の携帯型爆弾探知機と拡張した訓練を実現し、追加の装備品もアフガンに送りました。

 アフガンでのIED攻撃は増えていますが、未だにイラクの3分の1です。爆弾は洗練されておらず、肥料とディーゼル燃料に依存しています。イラクでは遠隔操作式の爆弾を探知し、電波を妨害するのに電子機器が使われました。アフガンの武装勢力が作る爆弾には別の問題があります。 


 昨日は記事を更新できず、申し訳ありませんでした。昨日の分も含めてできるだけ多くの記事を紹介できるようにします。

 被害が増えたのはオバマ大統領が決定したアフガン増派のためだということについては誰も異論がないはずです。当サイトでも、この増派はテロ問題解決ではなく、米国の世論を納得させるための最後の軍事活動であり、そのために被害が増えると書いてきました。理想的には、このようなデモンストレーションなしに撤退を決められればよいのですが、そうならないところにアメリカの問題があります。

 オタス中将のコメントは最悪です。統合即製爆発物対策機関はほとんど有効な手を打てて来なかったのに、まだ楽観的な見通しを口にしています。それは単に自分の責任を回避するためです。話になりません。

 爆弾は素朴なものでも大きな脅威になります。肥料とディーゼル燃料でも、爆発すれば死傷者を生みます。洗練されていようといまいと、爆弾は爆弾です。それが相手の弱点を考えるべきではありません。現に探知できないという問題があるのなら、それは立派な敵です。IEDに敬意を持って考えるべきでしょう。そこから解決策が見つかるかも知れません。

 それから、military.comに悪名高いテロ警戒レベルのカラーコードが4月27日で廃止されることが決まったという記事が載りました。その後は「国家テロリズム警告システム(the National Terrorism Advisory System)」が取って代わります。これは文書で脅威の内容を特定の人たちに通知するシステムになる予定です。(過去の記事はこちら



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