退役軍人がペトラエス大将を元帥に推薦

2011.1.15


 military.comによると、退役軍人グループ「Vets for Freedom」からデビッド・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)を5つ星の将軍「元帥」に昇進させるという要望が出されています。

 ウォールストリート・ジャーナルは「アメリカのテロリズムとの戦いは現在、米国史で最長の戦争となっており、ペトラエス大将は明らかにマッカーサー、マーシャル、ニミッツら大将の位に加わる価値のある指導者として知られるようになりました」「昇進は彼の軍務を正しく評価し、彼が指揮する兵士をも讃えるでしょう。現在の兵士はどの米国史とも同じく勇敢に戦い、指揮官に認識されるに値します。5つ星を議会が承認することは国家の彼らへの任務への責任を示します」と書いています。

 米軍の歴史上、この階級を与えられたのは9人だけです(ジョージ・ワシントンは死後に授与)。その最後の人はオマール・ブラッドリー元帥(General of the Army Omar Bradley)で、1950年ににその地位と責任を与えられました。以来、政治家は他の4つ星の候補者をあげることを真剣に検討しませんでしたが、湾岸戦争中にコリン・パウエル(Colin Powell)について噂が出ました。

 「Vets for Freedom」はイラクの成功した増派戦略とペトラエス大将のアフガニスタンでの重要な役割は真剣に検討することを正当化すると主張します。「デビッド・ペトラエスは外国の外交官や世界中のホットスポットの将軍たちと共に働く一兵士であり、優れた指導者です」「5つ星から来る名声は隣国との交渉においてアメリカを助け、自由の敵に我々がテロリズムとの戦いに完全に責任を持つことも示すでしょう」と彼らは書きました。このグループは「Let's Get General Petraeus his 5th Star」というフェイスブックを立ち上げました。


 アメリカでは元帥は戦時にのみ設けられる特別な階級で、アメリカが大きな戦争をしている時に設けられることがあります。

 形ばかり整えても意味はありません。テロとの戦いには戦略が整っていないことこそ問題視すべきです。それにイラクとアフガンでの戦いは、すでに完了の方向へ動いており、元帥を設ける必要があるとは思えません。

 また、戦時に設ける階級という定義から、テロとの戦いが戦争と言えるかという問題も提起します。専門家はむしろ「戦争以外の軍事活動」と呼ぶべきだと主張しており、私もそう考えています。便宜上、テロとの戦いを「戦争」と表記する場合がありますが、これは他に適当な言葉がないからであり、「テロとの戦い」というブッシュ政権が作り出した言葉も、不適切なので使いたくないというのが本音です。

 こんな話が出てくるのも、この戦争によい話題がなく、何かやらなければいけないという気持ちを起こさせるからでしょう。



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