タリバンが選挙ボイコットを呼びかけ・他

2010.9.8

 ここ数日間で興味を惹いた記事をいくつか紹介します。

 military.comによると、タリバンが9月18日の議会選挙に参加しないようにアフガニスタン人に呼びかけています。タリバン広報官は「それは、そうした過程を経てこの国に存在を維持しようと望む外国人の利益になるだけであり、我々は人々がそれから何の利益も得られないと考えます」「それが我々が地域の人々に、アフガン国民はこの選挙をボイコットすべきで、投票日には参加すべきでないと発表した理由です」とAP通信に述べました。選挙当局は、5,897ヶ所の投票所を開設する予定ですが、900ヶ所以上が治安上の問題で放棄されたと言います。有権者は249人の下院議員を、多数の女性を含む2,500人以上から選ぶことになります。

 military.comによれば、アフガンの米軍指揮官は、アフガン政府の限定的な腐敗は容認し、大規模な不正を標的にする戦略を促進中です。匿名の上級防衛当局者によれば、国防総省はタリバンが汚職よりもアフガンを安定させるための脅威になると考えています。汚職を根絶しようとする広範な努力は、タリバンが利用できるカオスと統治の真空を作りかねないためです。「指導力が必要な地域があり、それらの指導者は完全に清らかではありません」。ハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)は、「the Major Crimes Task Force」と「Sensitive Investigative Unit」の2つの対汚職機関を作り、外国の顧問の協力で、主にアメリカの資金により、18ヶ月間運営してきました。ジョン・ケリー上院議員(Sen. John Kerry)は、今月初めにカルザイ大統領に会い、アフガン政府が汚職を根絶しないとアメリカの支持を失うと開国しました。アフガンへの40億ドルの援助金の承認は、アフガン当局によって吸い上げられるという懸念により阻止されています。

 military.comによると、アフガン最大のカブール銀行で取り付け騒ぎがありました。騒ぎの原因は預金者が銀行の支払い能力に対する信頼をなくしたことと、数千万ドルが危険な不動産投資のために政治的エリート集団に貸し出されたという報道です。カブール銀行の苦難は、財政的に窮地に陥ったドバイの不動産を買うために、預金の何百万ドルが支配層エリートの親類と友人たちに貸し出されたといわれ、縁故主義と汚職という根強い問題も強調します。ニューヨークタイムズとウォールストリート・ジャーナルは、カブール銀行の損失が3億ドルを越えると報じました。ワシントン・ポストはアフガン中央銀行が、カブール銀行の新しい頭取に1億6,000万ドルのドバイの不動産を手放すよう命じたと報じました。カルザイ大統領は、預金者の預金は政府によって保証されると言いました。それでも、大勢の預金者が預金を引き出すために銀行につめかけました。


 タリバンが選挙ボイコットを呼びかけるのは、従来通りの行動です。しかし、アメリカがとうとう、完全な汚職追放を諦めたのは、目新しい動きです。そして、カブール銀行の取り付け騒ぎの原因が汚職だったというのは皮肉です。汚職の一掃はオバマ大統領も望んだことですが、困難だという結論に至ったようです。

 情報公開を中心とした民主主義が発展途上国に根付きがたいのは、こうした縁故主義と腐敗にあります。近年、武力介入の理由に、旧態依然とした体制を国際社会の手で民主国家に変えるというものがあります。こうした手法は成功する場合もありますが、イラクやアフガンでやっているように、急ごしらえの方法でやろうとすると失敗に終わります。なにより、人々の行動の様態を変えるのは、長い時間が必要です。同時多発テロが起きて、慌ててそれをしようとしても、準備が行き届きません。本来、発展途上国の民主化は、国連で長期的な計画を立て、できる限り武力を用いないで行うべきことです。アメリカ単独で、国策として行い得るものではありません。



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