軍服での選挙活動は禁止!

2010.9.28
追加 2010.9.29 6:10

 military.comによると、ハワイの上院議員レイダ・カバニラ・アラカワ(Rep. Rida Cabanilla Arakawa)が、軍服で選挙活動をすることを禁じる国防総省の方針を破った可能性があります。

 アラカワ州議員は4ページの選挙用パンフレットに、星条旗の前で軍服を着る自分の写真、その下に中佐の階級章と「私はあなたの自由を守るために軍務につきます」と述べた引用文を掲載しました。軍に23年間おり、2004年に州議員となったアラカワ氏は、パンフレットを2,000通以上郵送したと言いました。

 国防総省は2008年に米軍の隊員に指令を発しました。規則のある項は、陸軍の予備役を含む現役ではない隊員は、軍服を着た写真を、選挙用のチラシ、広告用掲示板、ウェブサイト、テレビCMで、「主要な写真の表現」として使用できないと述べています。

 アラカワ州議員は、この国防総省の規則を知らず、規則を調べるつもりだと述べています。彼女が使った写真は23年前の、少尉の時のものでした。類似する告発が、アイダホ州、南および北カロライナ州、ニューヨーク州、コロラド州、インディアナ州、ロードアイランド州、オハイオ州で起きています。

 アラカワ州議員が所属する第1984陸軍予備役病院(the 1984th U.S. Army Reserve Hospital)の指揮官、フォレスティア・クアトロ大佐(Col. Floresita Quarto)は電子メールでの声明で、選挙用広告はアラカワ州議員に注目をひくように示されており、調査中なのでコメントをするには早急だと述べました。州倫理委員会は、写真は連邦政府の問題だと言いました。

 太平洋地域の予備役部隊を監督するフォート・シェーファー・フラッツ基地(Fort Shafter Flats)の第9任務支援軍(the 9th Mission Support Command)の副法務部長ジョーダン・クラウズ大佐(Col. Jordan Clouse)は、軍服を着た候補者が写った選挙活動用の写真が他の民間人の写真とのバランスが取れていれば、問題はないと言います。「広告用看板などを見たときに、それが立候補している中佐に見えるとか、誰かと選挙を競っている軍曹に見えるなら、それは国防総省の方針の問題だろうと思います」。クラウス大佐は、前市議チャールズ・ジョウ(Charles Djou)は、選挙前に軍法務官に軍服を着た写真の使用について相談したと言います。

 2008年の国防総省の方針は、現役隊員が党派的な政治活動を行うべきでなく、非現役の隊員は彼らの政治活動を意味することや、正式の後援、公認、推薦を意味するように見えるという推定を避けるべきという、伝統的な概念を維持することにあると述べています。

 クラウス大佐は「予備役だと、それは非常にむずかしい」「この最大の救済策は人に相談し、『おい、これが悪いことで、方針に違反してるって知ってたか?。これは変える必要があるよ』と言うことです」と言います。


 この事件はそう深刻なものではありませんが、アメリカ社会を考える上で重要だと思うので紹介します。

 クラウス大佐が言うアドバイスは、冗談のようにも聞こえます。予備役は非現役であり、アラカワ上院議員は非現役に属します。よって、アラカワ議員はその規則を守らなければならないのですが、私にも規則をどう解釈すればよいのか首を捻ります。

 写真は駄目で、軍歴を書くのは問題ないわけです。確かに、軍服を着た人が立候補しているという事実は、まるで軍事独裁政権みたいで、民主国家の選挙らしくない雰囲気を作るでしょう。

 この規則が2008年に出されているのが気になります。2006年の中間選挙では、対テロ戦争に反対する軍人が多数立候補して当選し、2008年にはバラク・オバマが大統領に選ばれた選挙がありました。対テロ戦が長引くこともあり、今後も不満を抱える元兵士が立候補する可能性があるので、規則を明文化する必要があったのではないかと推測できます。

 それにしても、この規則では非現役の軍人に立候補するなと言っているようにも聞こえます。



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