選挙に向けて幹部の暗殺とラジオの配布

2010.9.18

 アフガニスタンの国政選挙に関する記事が2つあります。一つは特殊作戦、もう一つはプロパガンダに関してです。

 military.comによれば、選挙を目前にして、タリバンの中堅幹部に対する米軍の特殊部隊が主導する作戦が過去最大になっています。目標になっているのは、アフガン国内の州、地区にいる影の統治者です。アフガンに到着した新しい資産がピークに達したのと共に、アフガンでかつてなかったほどにテンポが最高に達しています。

 military.comによれば、アメリカの資金を出しているラジオ局「Radio Free Europe/Radio Liberty」は今週、パキスタン国境の山村や難民キャンプを含む地域のアフガン人に、小型ラジオ20,000台の配布を始めました。

 このアイデアはタリバンがスポンサーの、主にパキスタン国境のトライバルエリアで、大衆が外国の軍隊とアフガン政府に対抗するのを助ける、いわゆる「Mullah Radios」への対応です。この活動は数週間続き、500,000ドルかかります。この費用は、寒村へのアフガン空軍のヘリコプターの輸送費、1個20ドルのソーラー式、手回し式ラジオを含みます。

 アフガンでは、テレビ、新聞、インターネット僅かで、ラジオは大多数へ手を伸ばす鍵です。2,800人が住む農村地帯では、女性の90%、男性の60%が識字不能です。

 デビッド・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)は最近、タリバンに対する情報戦争についてガイドラインを出しました。「攻撃的に情報戦争を行いなさい」「偽情報と戦いなさい。我々の敵の過激なイデオロギー、弾圧的な慣習、無差別な暴力を逆手にとりなさい。彼らの野蛮な行為を道しるべのように、彼らの首のまわりにぶら下げなさい」「真実を最優先しなさい」「武装勢力と有害な行為を行なう者たちを、ヘッドラインで批判しなさい」。

 しかし、西欧がアフガンで、すでに情報戦争に負けたかもしれないと、多くの者たちが言います。ブリュッセルのシンクタンク「the International Crisis Group」は「タリバンは、ますます自信に溢れる運動を印象付ける洗練されたコミュニケーション装置を作り上げた」と言います。最新の報告書で同団体は「あらゆるメディアを使い、それ(タリバン)はアフガンの国家主義の試練の中に食い込み、カブールの政府と国際的な支援者の失敗を利用しています」と指摘しています。

 「Radio Free Europe/Radio Liberty」は、2002年にアフガンで「Radio Azadi - Pashto for "Liberty"」を立ち上げました。この局はパシュトウ語とダリ語で放送し、アフガンで最も知られたニュース源で、市場占有率43%。毎週790万人の聴衆者を持っています。配布されたラジオは周波数を固定しておらず、どの放送も聴けます。


 どちらの努力もこの国政選挙には、目に見えない影響しか及ぼさないでしょう。実施する時期が遅すぎるからです。

 新しい資産とは、増派で増えた兵士のことでしょう。増えた部隊で、タリバンの中堅幹部を暗殺、誘拐しているのです。人数が増えたことで作戦がやりやすくなったのでしょう。投票所を攻撃されにくいように、中堅幹部を狙うのは的を射ています。でも、過去の選挙でも、それほど多くの投票所が攻撃されたわけではありません。だから、それほど多くの影響はないと考えられます。

 ラジオの話は、否定的な方向でビックリしました。ラジオ局があることは聞いた憶えがありますが、これまで無料ラジオの配布もやらず、タリバンのラジオ局に好き放題やらせていたとは思いませんでした。第一に、選挙で効果を生むには、実施が遅すぎます。そして、戦略的な動きとしては、優先度に関する考察がなさすぎます。

 前に、対テロ戦に勝つためには、プロパガンダが鍵かも知れないと書きました。しかし、この分野にここまで手がつけられていないとは思いませんでした。

 アメリカは2001年の同時多発テロの直後、航空機による爆撃で多数の民間人を殺傷し、突然予告なく殺される恐怖をアフガン人に植え付けました。まず、タリバンやアルカイダを一般のアフガン人と分離するために、プロパガンダをアフガン全土で展開すべきでした。何もかもが順序が逆です。

 今後、発展途上国で軍事活動を行なうために、戦闘と情報戦争の調整を図る部署が設置されるかも知れません。作戦上は有効でも、現地人の反感をかう作戦を勧告したり、地元を味方につける軍事作戦を企画する部署です。軍事的な効果よりも、地元の受けを優先する考え方です。こういう発想は、武人たる軍人たちには苦手です。彼らの心配事は、直面している戦争で、自分が手柄を立てられるかどうかです。それは士気と呼ぶべきものですが、現代の戦争では障害になっています。戦争全体を鳥瞰して、調整する者が必須となってくるのです。



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