ジョーンズ師の真の狙い

2010.9.11

 military.comによれば、テリー・ジョーンズ牧師は、まだ諦めていません。焚書イベントに関して、アフガニスタンで大規模なデモが起こり、負傷者が出ました。ジョーンズ牧師は土曜日にグラウンド・ゼロの近くに建てるモスクの責任者に会えれば、イベントは止めると言いました。

 アフガン北部のベイダクシュアン州(Badakhshan)で、数百人のデモ隊がNATO施設に向けて走り、デモ隊4人と警察官5人が負傷しました。抗議者たちは金曜日の祈りの後で、モスクでアメリカ国旗を燃やしました。西部のファラ州(Farah)では、2人が別の抗議において負傷しました。

 NBCの「Today" show」で、ジョーンズ牧師は、ニューヨークで、中央フロリダ・イスラム協会(the Islamic Society of Central Florida)のイマム・ムハマッド・ムスリ(Imam Muhammad Musri)に会えるなら、焚書は行わないと言いました。しかし、中止が無期限か、土曜日だけなのかは明確ではありませんでした。ムスリ理事は、CBSの「The Early Show」で、ジョーンズ牧師とニューヨークで会う約束があると言いました。

 地元ゲインズビル市役所当局は、ジョーンズが行うと宣言した物に問題はないが、彼らはイベントの対応で警備を増やす計画を維持すると言いました。ジョーンズ牧師はグラウンド・ゼロ近くに建てられるモスクの位置が変わるという取引に基づいて、コーランを燃やすイベントを取りやめると言いました。しかし、ムスリ理事は、ジョーンズ牧師に、モスクの設計者との会談を設定できると言っただけだと明言しました。ジョーンズ牧師は「我々は本当に衝撃を受けた」「彼は明らかに、明らかに我々に嘘をついた」と言いました。

 影響は世界で最もイスラム信者が多いインドネシアにも及んでいます。ルスリ・ハシビ師(Cleric Rusli Hasbi)は金曜日、朝の祈りで千人の信者に対して、コーランを焼いたかどうかに関わらず、ジョーンズはすでに「イスラム世界の心を傷つけた」と述べました。「彼がそれをやり抜いたなら、それは戦争と同等になったでしょう」とハシビ師は言いました。


 記事はジョーンズ師に対して批判色を強めており、かなり長文です。ここでは気になるところだけを抜き書きしました。

 アフガンでのデモでは、別の記事では1人が死亡したとされています。

 ジョーンズ師は、グラウンド・ゼロにモスクを建設したくないようで、そのために意図的に人目を惹くイベントを計画したようです。しかし、この計画は逆効果になるでしょう。オバマ大統領がモスク建設に賛成したとき、多くの支持を得られず、大統領は発言を撤回しました。しかし、ここにおあつらえ向きの、頭の固い過激主義者が現れて、コーランを焼くという認めがたい行為に及ぼうとしました。これにより、モスク建設反対運動が先鋭化し、運動に水がかけられたのです。どの派にも所属しない、地元でも変わり者とみられる牧師の無法は、しばらく放置すればよいのかもしれません。モスク建設の支持者が広がることになります。

 問題は日本と関係が深いインドネシアにも波及しています。日本だって、こういう問題で発言して構わないのです。外務大臣あたりが事件にコメントしても、よい効果がありそうです。

 まさに、「狂人走れば不狂人も走る」の図。



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