退役軍人の失業率が年々増加

2010.8.6

 military.comによると、退役軍人は高い失業率を含む、社会経済的な難問に直面しています。

 ワシントン州立大学のアライア・マクレーン(Alair MacLean)は「戦闘を経験した退役軍人は、彼らが克服できない相対的な損害を経験して仕事をはじめます」と言います。「戦闘に曝された兵士は、非戦闘員の退役軍人よりも、20代中頃に身体障害者になり、失業し、労働人生を通してそのままになりやすいのです」。研究者たちは、1968年以降、毎年行われた家族と個人の経時的調査のデータを使って、22〜55歳までの退役軍人と退役軍人ではない者を、1968〜2003年までを比較しました。「the American Sociological Review」が公表した研究は、1968年に戦闘を経験した退役軍人の10%以上が身体障害者になりましたが、2003年には20%に増加しました。調査機関の初期には、戦闘を経験した退役軍人は、戦闘を経験しない退役軍人や民間人よりも高い率で雇用されていました。しかし、1975年以降、退役軍人は退役軍人でない者、戦闘を経験しない退役軍人よりも非常に高い率で失業しています。


 軍事マニアが好むミリタリー雑誌がまったく取り上げないのが、この退役軍人の失業問題です。ホームレス、アルコールと薬物の中毒は退役軍人が常に抱えてきた問題です。

 研究は2003年までのデータを用いています。2003年のイラク侵攻に参加した退役軍人のデータが含まれる率は少ないでしょう。むしろ、2004年以降のデータが気になるところですが、この研究では近年の方が身体障害者になる率や失業率が高い点が気になります。身体障害者になる率が増えたのは、おそらく、医療技術の進歩により、かつては戦死になった兵士が生存するようになったためです。しかし、失業率が増加しているのは、明らかにアメリカ社会が退役軍人に冷たくなったからと思われます。戦争をすれば、大量の心と体に傷を持つ退役軍人が増えます。開戦を決断する前に、そのことまで考えるべきだという意見を、アメリカではほとんど見ることがありません。アメリカは常にストレートに戦闘に突入し、あとで戦争の後遺症に苦しみます。このルーチンを変える努力をしないと、この問題は解決しないでしょう。

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