タリバンが再度、民間人への付帯被害を禁じる

2010.8.4

 アフガニスタンのタリバンに関する記事を2件紹介します。武装勢力が南部最大の基地、カンダハル空港を集団で攻撃しましたが、防御を突破できませんでした(記事はこちら)。タリバンが民間人への被害を避けるよう命じる新しい行動規範を配布し始めました(記事はこちら)。

 カンダハル基地への攻撃は火曜日正午に始まり、攻撃者が逃走するまで約1時間続きました。犯行声明はありませんが、やり方は重要施設へのタリバンの攻撃に合致しています。タリバンはバグラム空軍基地を攻撃した数日後の5月22日に、カンダハル基地を攻撃したことがあります。犠牲者や攻撃者の数は、現段階では明らかではありません。

 タリバンは戦士たちに民間人を殺すことを避け、武器をお金を奪うことを禁じました。これはアフガン人の支持を得ることを目的としています。しかし、文書は国際部隊やアフガン政府のために働く人々は「異教徒の支持者」であり、殺害してよいとしています。これは6月はじめにタリバンの指導者ムラー・オマル師が出した命令に似ています。AP通信が火曜日に、アフガン国境の町スピン・ボルダク(Spin Boldak)で、タリバン戦士から手に入れた69ページの小冊子は「タリバンは、人々の信頼を得るために、イスラムの規範と倫理に従って民間人を取り扱わなければならない」「攻撃で民間人を傷つけるのを避けるためにあらゆる努力がなされなければならない」と書いています。タリバンは小冊子は10日前から配布され始めました。小冊子は、髭を生やすことと、禁煙も命じています。NATO軍やアナリストは、この新しい命令を、軍事教範よりもプロパガンダだとみています。


 記事の後半は省略します。

 タリバンは「外敵に協力するなら、女性でも殺せ」と命じたばかりですが、それは大きな方向転換ではなく、単に命令の表現が不十分だったのでしょう。昨年出したように、国際部隊へ支持が集まるのを防ぐために、民間人への被害は防ぎ、外敵に協力する者は殺せという方針は変わっていないと考えて差し支えないでしょう。

 今回の記事で、オマル師の命令がやはり最近報じられたように「5カ条の命令」のような簡単なものではなく、69ページもあることが分かりました(記事はこちら)。随分簡単だと感じた疑問が、これで解消されました。

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