タリバンが北西部で勢力を拡大

2010.8.28

 military.comによると、アフガニスタンの首都カブールの着た150マイル(240km)で、クンドゥズ市(Kunduz)の入り口にある検問所を武装勢力が攻撃し、アフガンの警察官8人が死亡しました。

 木曜日には、カブールの西450マイル(725km)のヘラート州(Herat)を移動中の女性議員候補者ファウジャ・ガラニ(Fawzya Galani)が襲撃され、彼女の選挙運動員10人が誘拐されました。

 これらの事件はスペイン人警察官3人がアフガン人警察官を訓練中に射殺された事件の後に起こりました(関連記事はこちら)。北西部のバドジス州(Badghis province)で、警察官を訓練中に、警察の教官2人と通訳1人が男に撃たれ、男も射殺されました。男はアフガン警察署長のドライバーとして働いていたとみられますが、地元当局はタリバン指揮官の義理の兄弟だったといいます。

 今月初めには、キリスト教系の医療チーム10人(アメリカ人6人、アフガン人2人、ドイツ人1人、イギリス人1人)が北部のベイダクシャン州(Badakhshan)で銃撃され、タリバンが犯行声明を出しました。

 北西部へのタリバンの影響は南部ほどではありませんが、2007年以降、クンドゥズ州、ファリャブ州(Faryab)、バグラン州(Baghlan)のような地域で、少数派のパシュトゥン人の間でゆっくりと拡大しています。ヘラート州の議員アリ・アハマド・ジェブライリ(Ali Ahmad Jebraili)は、この州の治安がより悪くなり得、特に首都から遠くにある僻村では最悪だといいました。アフガン当局は、タリバンが北部で拠点を築くために、南部の経験を積んだ兵士を使っており、ウズベク共和国のアルカイダにリンクするイスラム運動の助けを借りていると考えています。治安はクンドゥズ州では非常に悪く、危険です。春に独立系シンクタンク「アフガン・アナリスト・ネットワーク(the Afghan Analyst Network)」が発表した研究は、北部と西部への拡大は、アフガン人のためであり、単にパシュトン人社会のために戦う本当の国家政府であると主張するタリバンの主張を強化するといいます。また、それは中央アジアから来るNATO軍の補給線を脅かします。これらはパキスタンからの補給線への依存を減らすために設けられました。


 起きるべきことが起きているようです。タリバンは南部で国際部隊と戦う一方で、手薄な北西部で活動を活性化させています。敵と正面切って戦わないことは、戦略戦術のポイントです。これはあまりにも使い古された金言です。テレビの時代劇でも侍たちが「敵の手薄な所を狙い、虚を突くべし」と軍議を行うのを見るほど、よく知られています。

 このように、敵と戦って勝つつもりなら、敵が自由に逃げて別の戦場を選択できるような戦いはすべきではありません。本当の戦いには、敵の逃げ道を確実に断つ方法を使わなければなりません。その見地から見ると、対テロ戦は最初から、見せかけの戦略戦術の連続でした。同時多発テロの直後にアフガンに攻撃を行いながら、攻撃を継続しませんでした。このため、一度政権の座を追われたタリバンの復活を許しました。次に、アルカイダがいないイラクに侵攻するという過ちを犯しました。世界の多くの国は敵をまったく追い詰めることのない、この作戦を支持しました。イラク侵攻が治安作戦で行き詰まると、今度はアフガンに主軸を移しました。しかし、イラク侵攻を十分に反省せず、同じ手法を踏襲したため、アフガンでも同じ問題を抱えることになりました。その間に、アルカイダやタリバンは想像を超えて勢力を拡大し、パキスタンやインドでテロ事件を起こしました。どこに敵の退路を断つ戦略が観察できるでしょうか?。

 オバマ大統領も、この問題を克服することはできず、適当に後始末をして撤退するくらいしかできません。元々、オバマ大統領はアフガンでアルカイダを壊滅できるとは考えておらず、アフガン撤退後に目を向けています。そのとおり、勝負はアフガン撤退後にあります。ここを見誤るべきではありません。

 北西部でタリバンが活性化しても、国際部隊にはほとんど対応できないでしょう。北部の補給路を脅かされるのは心配ですが、やがて国際部隊は撤退し、補給路も不要になります。小さな問題に関わって、大きな目標を逃がしてはなりません。

 最近、イラクで爆弾事件が連続し、これがイラク撤退に原因があるとする新聞記事を目にしました。しかし、死者30人程度の爆弾事件なら、2004年には珍しくもありませんでした。だから、イラク撤退を遅らせるべきだという意見に耳を貸すべきではありません。同様に、アフガンでも小さな治安の悪化は無視して、撤退の準備を続けるべきなのです。

 「そんなことをすればアフガン人が困るのではないか」と批判する人は、戦争というものが分かっていないのです。元々、大規模な侵攻が人道的な目的を達成した事例は、過去にほとんどありません。軍事侵攻は軍が国家の目標を達成するために、自軍の利益を得るために作戦を行うものであり、侵攻する土地の人々に親切にするためではないのです。こうした事実は、戦史を多く読めば、自ずと理解されることです。


 

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