アフガンでアルカイダが勢力を拡大

2010.8.12

 アフガニスタンに関するニュースが2つあります。 アフガン軍・警察が定員に達し、アルカイダが南東部で勢力を拡大しています。

 military.comによると、アフガン軍・警察の規模が予定よりも3ヶ月早く、目標の240,000人(軍人134,000人、警察官109,000人)に達しました。NATO軍のアフガン、訓練計画の副責任者キャック・ケム(Jack Kem)は、1年前には25%しか武器の認定試験に合格できず、基礎訓練を卒業できませんでしたが、90〜95%が合格すると言います。

 military.comによれば、アフガン軍と連合軍は、アフガン南東ザブル州(Zabul)でアルカイダとパキスタン人戦士を狙った襲撃を行い、タリバン戦士20人が拘束されました。「The Long War Journal」によれば、アルカイダはザブル州にいます。米軍のプレスリリースによれば、アルカイダと外国人戦士の細胞がシャミュラジ地区(Shamulzai)とシャージョイ地区(Shah Joy)、ザブル州の11地区にいると言います。米軍は「外国人戦士(foreign fighters)」という言葉を、アルカイダとアフガン国外から来た同盟するテロ組織を表現するのに使っています。

 ワシントン・ポストによれば、タリバンは2,000人以上の戦士を100のグループに組織し、北部のカカル地区(Kakar・kmzファイルはこちら)を支配し、約800人のルーマニア軍とヨルダン軍、米軍特殊作戦軍も州内に配備されています。

 米軍は、CIA長官レオン・パネッタ(Leon Panetta )とテロ対策センター長官マイケル・リーター(Michal Leiter)による、アフガンには50〜100人の工作員しかいないとする見解に反論しました。「The Long War Journal」は、アフガンの34州の内16州の46地区に、アルカイダとイスラム聖戦連合(the Islamic Jihad Union)のような同盟する組織がいると言います。これらの細胞は南東部に限らず、西部のファラ州(Farah)やヘラート州(Herat)、北部のクンドゥズ州(Kunduz)、中部のカピサ州(Kapisa)に見られます。アルカイダの工作員は、タリバン、ハッカニ・ネットワーク(the Haqqani Network)、ヒズブ・イ・イスラミ・グルブディン・ネットワーク(the Hizb-i-Islami Guldbuddin network)ともに活動します。アルカイダ工作員はタリバンの部隊に派遣されて教官を務めたり、資金や武器などを援助しています。


 アフガン軍・警察が定員に達したとしても、安心はできません。イラクでは過去に、兵士の合格基準を引き下げたことで、基準に達したように見せかけるという欺瞞が行われました。兵数が増えたと思ったら、脱走などで激減することもありました。いまでも、イラクは兵士への給与未払いなどの問題が続いています。アフガン政府に給料を支払う余裕がないことは明白で、日本もその資金を援助しています。

 やはり、アルカイダはアフガンに戻っていたようです。むしろ、この方が展開として自然です。アメリカも情報当局と軍で、これだけ見解の違いがあるわけで、敵の実態がまったく見えていないという問題も浮上しました。


 

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