誤爆でアフガン人6人が死亡

2010.7.12


 military.comによれば、東部アフガニスタンで木曜日に民間人6人を殺害し、数人を負傷させた砲撃に関して、NATO軍が責任を認めました。

 民間人とアフガン軍からなる評価チームは、パクティア州(Paktia province)のジャニ・ケール地区(Jani Khel district)で、砲撃が目標に達せずに民間人が殺害されたと断定しました。完全な調査は進行中です。当初、連合軍はアフガン人の民間人8人が負傷し、治療のためにNATOの前哨基地の近くに連れて行かれ、その後に死亡したと報告しました。後に、遺体はNATO軍が現場に到着する前に、軌道を逸れた砲弾のあとで移動させられたと判断されました。

 水曜日には、ガズニ州(Ghazni province)のアンダル地区(Andar district)で、アフガン兵5人が空爆で死亡し、2人が負傷していました。NATO軍の航空機が警告なしに攻撃を行ったとき、アフガン兵は未明に武装勢力に対する待ち伏せを行っていました。国際部隊は友軍の攻撃はコミュニケーションエラーによって起きたと主張しました。アフガン軍の部隊は国際部隊に間違った場所を報告したと、合同調査は確定しました。連合軍のパトロール・ヘリコプターは道路脇に地雷を埋めている人たちに注意したとき、司令部がアフガン兵は別の場所にいると信じていたために、空爆が承認されました。


 民間人が死亡した事件は不可抗力が原因です。砲弾は通常なら狙い通りに目標周辺に落下しますが、僅かにおかしな着弾をするものが発生します。この事件では、照準は正しかったのに、砲弾の欠陥やその他の偶然が重なって、照準点から砲弾がかなり離れて着弾したのです。民間人の被害を減らすよう指示が出た後も、こうした不可抗力による被害までは防げません。照準点を中心にして砲弾の有効範囲内程度の距離に民間人がいなければ、砲撃は承認されるのです。よって、こうした被害までは、現在の方針では防げないということになります。

 マクリスタル大将が打ち出した方針は決して間違っていません。それでも、こうした問題が起きるとき、安全の基準をどこまで広げるべきかという問題に直面します。榴弾が逸れた場合の危険まで考えて、安全基準を設定すべきかは難しい問題です。

 これは戦場に住民がいる場所での戦闘では不可避の問題です。最近は国外での任務が増えてすっかり忘れられているようですが、自衛隊の本来任務は日本の領域を侵略する敵を排除することです。よって、こうした防衛任務においても、類似する誤爆が起こり得ます。いくら国民保護法で有事の際は国民を避難させるといっても、様々な理由で避難できない人が出てきます。太平洋戦争でも、そうした問題があちこちで起きています。戦場に取り残された人たちが、友軍の誤爆で死亡する可能性は常にあるのです。

 弾道ミサイルになると、誤差の問題はさらに大きくなります。有事には弾道ミサイルは短時間で発射し、通常のロケットのように、緻密には誘導されません。そのため、テスト時に測定されたCEPは、実戦では何倍にも広がるとされています。

 軍隊がいくら安全に注意しても、自ずとできることには限界があります。安全な戦争などありません。我々が戦争を考えるとき、注意をしす怠るべきではないのは、こういう事情のためです。


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