紛失した装備品を請求される米兵

2010.6.4

 military.comによれば、負傷したときに装備品を紛失した元オレゴン州兵への請求が取り消されました。

 ルイス・マッコード合同基地(Joint Base Lewis-McChord)は、紛失した装備品を請求されている元オレゴン州兵ゲーリー・プライアイダー(Gary Pfleider)は、2007年にイラクで狙撃兵に撃たれました。「私は足がつかまれ、手が引っ張られ、手が出血していたのを憶えています。それから、ストライカー装甲車に運び込まれるまでは、ほとんど憶えていません」と彼は言います。その3日後、彼は名誉負傷章を授与されました。2年後、彼は軍から衣類と手榴弾を含む、なくした装備品を請求されました。プライアイダーは装備品に責任を持てないときに、それらを失ったと主張しますが、連邦政府は彼の障害手当から毎月金を取っています。基地当局者は問題を調査中だとして、水曜日に以下のような声明を出しました。

ルイス・マッコード合同基地とオレゴン州軍はゲーリー・プライアイダーの案件を再調査し、ルイス・マッコード合同基地やオレゴン州軍の装備品の紛失による負債はないと決定しました。


 こういう問題は以前から何度も起きていますが、依然として、兵士が不利な状況が続いているようです。よくあるパターンでは、救急ヘリや医療部隊が装備品を処分してしまうのが原因です。兵士が負傷して出血した場合、血がついた装備品は生物学的汚染物質とされ、両部隊は焼却処分しています。こうして、兵士の意識がなく、装備品を管理する能力を失っている間に装備品がなくなるのです。また、戦場の混乱の中でなくなることもあります。応急処置のために衣類を切り裂いたり、防弾ベストのような装備品を身体から外した際、現場にそのままに放置されるのです。陸軍はこういう場合でも、装備品を紛失した場合は弁済というルールを適用して、兵士に費用を請求します。大抵の場合、ここで兵士の家族が怒り出します。「息子(または娘)が国に命を捧げて死にかけたのに、国は金を取るのか!」というわけです。家族は即座に地元選出の連邦議員に手紙を書きます。議員は国防総省に説明を求め、再調査が行われて、兵士に過失がないことが証明されると負債が取り消されるというパターンが繰り返されてきました。

 このように、当人には過失がないのに、軍に借金を残して除隊することになる人もいます。大抵の場合、普通では考えられないような不作為の結果です。補償してもらえると思っていた給付金を受け取れないとか、入隊時にもらうボーナスの返却を求められたとか、兵役の見返りにもらえる奨学金が取り消されたとか、様々なパターンがあります。


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