アフガン軍がバーグ・エ・マタルを再占領

2010.6.2

 military.comによると、昨日、マクリスタル大将が記者会見で質問を受けた、最近放棄したアフガニスタン国境地帯「バーゲ・エ・マタル(Barg-e-Matal)」をアフガン軍が再占領しました。

 火曜日に、米軍ヘリコプターがアフガン軍を空輸して、発砲することなく主要都市を取り戻しました。この再占領は、ハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)がカブールで行われる和平会議に先立って行われました。タリバンは、この会議を「外国の侵略者に利益を与える」として拒否しました。アフガンのエリート部隊約200人がヌリスタン州(Nuristan province)、バーゲ・エ・マタルに米軍ヘリコプターで少数の顧問と共に降り立ちました。発砲はなく、負傷者はいませんでした。作戦はまだ続いていて、数日間続く見込みです。タリバン戦士は街を出て、峡谷のどこかにいるかも知れません。タリバンは約1週間、アフガン軍と地元民と戦い、アフガン軍は先週末に、この地域から撤退していました。米軍はヌリスタン州に前哨基地を確立しましたが、昨年10月、タリバンの激しい攻撃を受けて8人の米兵が戦死したあとで放棄しました。米軍は、タリバン戦士はほとんどがアフガン人ですが、パキスタン人と少数のアラブ人もおり、人数は約500人で、25kmの樹木で覆われた山間の谷に拡がっています。村民はパキスタンのタリバン指揮官マルアナ・ファズーラ(Maluana Fazlullah)が先週、ヌリスタン州でアフガン軍と戦って死んだと報告しましたが、確認されていません。NATO軍は月曜日に作戦に先立ってタリバンが司令センターとして使う洞窟を空爆しました。空輸は地区の中心部から撤退した400人のアフガン軍に200人の増援を送り込みました。主要都市の内外にいる1,500人の民間人は逃げたり、非難しました。

 もう一つ、記憶しておくべき記事があります。military.comによれば、米軍は2003年以降続けてきたイラクのバグダッドに設けた重要警備区域「グリーンゾーン」を守るイラク人を支援する活動を終了させ、グリーンゾーン内で式典を行いました。これはイラク撤退の最後のステップです。戦闘部隊は8月末までに撤退し、軍事顧問と訓練教官として、約50,000人が残ります。2008年11月に調印した安保条約により、すべての米軍兵士は2011年内にイラクを出ます。


 バーゲ・エ・マタルはいわくつきの場所です。カムデッシュの前哨基地が攻撃を受けたのは、バーゲ・エ・マタルの前哨基地を維持したいという地元からの要請により、警戒が手薄になったためと言われています(過去の記事はこちら)。結局、ここは依然として維持されているわけです。

 先日の記者会見では、マクリスタル大将はバーゲ・エ・マタルを再占領することに意欲を持っていないようでしたが、奪還したようです。その狙いはよく分かりません。しかし、マスコミが注目しているので、作戦がうまく行っているようにみせるためにやったのなら、作戦がすでに焦点を欠き、軍事上の必要性で動いていないことを思わせます。時々、軍事活動は単に世論を気にして行われることがあります。

 タリバンが抵抗しなかったのは、すでにそこにいなかったか、アフガン軍を駐留させてから攻撃するか、空爆によって指揮系統が崩壊したためかなどが考えられますが、はっきりとは分かりません。今後、ここでどんな戦闘があるかに注意する必要があります。

 イラクのグリーンゾーンはイラク占領の象徴でしたが、そこの保安が完全にイラク軍に移譲されました。いまのところ、イラク撤退は順調に進んでいます。テロが激化しても、米軍はできるだけ関与を避け、予定通りに撤退することに力点を置くでしょう。もはや、アメリカの狙いはイラクの治安を安静させることにはありません。


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