共和党議員もアフガン戦略を不支持

2010.6.18

 military.comが、米上院で行われたアフガニスタン戦略に関する2日間の委員会の内容を報じました。

 アフガンを管轄する中央軍司令官デビッド・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)は、2011年7月が撤退を開始する期日ですが、地上の状況によると言いました。ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)は、2011年7月の撤退が、同盟国に不確かなトランペットとして聞こえ、任務を脅かすという懸念を述べました。リンゼイ・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)は、アフガンが正しい方向に向かっているという彼の評価を弱め、国の重要な部分が依然として無力な政府と腐敗した治安軍であることを認めるよう求めました。また、大将にアフガンとパキスタン国境地帯にいるアルカイダとタリバンの数を見積もるよう求めました。ペトラエス大将は、一族や婚姻によるつながりで彼らと結びつく個人とグループを数えて、数千人と言いました。グラハム議員はタリバンが2011年7月に始まる撤退をタリバンがどう見ると思うかと尋ねました。「敵がそれによって鼓舞されている兆候、それから一部のNATO軍が撤退をはじめているという事実はありませんか?」。ペトラエス大将は「敵はかつてなく重圧下にあります」と、大将は武装勢力が2011年7月の期日を知っていることを示していると認める前に答えました。「彼らの戦略は彼らが過去にしてきたことをすることです。それは彼らと戦うのが誰であれ、より長く続きます」。ペトラエス大将は、2011年7月は撤退の期日ではなく、アフガン軍と政府が支配できるようになると同時に行われる進展の始まりに過ぎないことを繰り返して言いました。グラハム議員は納得せず、「私はそれは大きな間違いだと思う。では、ありがとう」と言って、公聴会から立ち去りました。


 公聴会の最中、マケイン議員の発言中に、ペトラエス大将が一時的に倒れるというハプニングがありました(記事はこちら)。CNNは原因は脱水症状で、トイレに行くのが嫌で水分を取らなかったのが原因と報じていました。

 この記事は、共和党の議員すらアフガン戦略の進展を信じなくなったことを示しています。マケイン議員はオバマ大統領と大統領選挙を競った議員で、ブッシュ政権のイラク侵攻を、いくら分が悪くなっても支持し続けた張本人です。私は当サイトでそれを何度も批判しました。ベトナム戦争の退役兵でもあります。グラハム上院議員は空軍予備役大佐として、2007年にイラクで従軍した経験を持ちます。2006年の中間選挙では、民主党に多数の軍人が立候補しましたが、2008年の選挙で共和党で似た現象が起こりました。彼はその流れで当選した一人です。

 ペトラエス大将の答えは歯切れが悪く、アフガン戦略が成功しているとは、もはや誰にも言い難くなっていることが分かります。別のmilitary.comの記事は、カンダハルで地域の指導者の暗殺が増えていることを報じています。ペトラエス大将の発言は、現場の兵士の士気を維持するため、軍の体面を保つためなのです。

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