キルギス問題に対するロシアの戦略

2010.6.16

 キルギス共和国が再び不安定化しています。こうした状況におけるロシアの動きに関して、stratfor.comにレポートが掲載されました(レポートはこちら)。

 ここでは、ごく簡単に冒頭部分の要点だけを紹介します。必要な方は全文をお読みください。図版や地図が原文に掲載されていますので、記事へのリンクを使って参照してください。

ロシアの地理、戦略、人口

 ロシアの地理は非常に開けています。ロシアを防衛するための海、山、砂漠はありません。森が若干の防衛手段を与えますが、それは適切な場所にはなく、タイガは北方にあり、それは経済的に役立つ地域が陥落した後で難民を受け入れるだけです。それでも、ロシアは三部構成の戦略で対処してきました。

できるだけ広い所有地を主張する
支配を確実にするために、その土地をロシア人で溢れさせる
監視するため、必要に応じて先住民を抑えるために、内部情報の存在を確立する

 ロシアの歴史上、この戦略は繰り返されてきました。2010年のクレムリンの戦略は、女帝キャサリン、イワン雷帝、ヨシフ・スターリンのそれらと酷似しています。しかし、すでに17世紀ではなく、この戦略は必ずしも適切ではなくなりました。2番目の戦略は、ロシアの人口分布によって選択肢ではなくなりました。ロシアの出生率は一世紀にわたって低下し、冷戦後に最も若い世代が崩壊しました。1990年代と2000年代の出生率は、ロシアの歴史で最も小さな人口の一群を作り出しました。人口の跳ね上がりは、少なくとも2050年までには起こりません。

 ロシアは現在の国境を支えるだけの人口を持っていません。時間が経つにつれて、この能力は大幅に減少します。ロシアはこのことを理解しており、素早く、賢明に動いています。

 ロシアは天然のアンカーポイント、国外の勢力に曝されることを限定する地理的なバリアに到達しようと試みています。ロシアはこれらのアンカーポイントにより、彼らの力を節約できるようになることを望んでいます。

 残念なことに、こうしたアンカーポイントがロシアの近くには少ししかありません。一つはバルチック海で、もう一つはカルパティア山脈です。さらに、我々を危機に陥らせる中央アジアの天山山脈があります。

この記事は、STRATFORの許可の下で再発行されています。


 時間がないので、ここまでにします。

 この冒頭部分はロシアがキルギス問題でどう動くかを考える最も基本になる部分です。ポイントはロシアの地理的特性と人口減少です。かつてのような大きな軍事行動はできなくても、ロシアは政治的な手法で周辺地域に「アンカーポイント」を確立しようとするということです。この視点で、キルギス問題を考えてみてください。


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