中国が天安事件の調査をサボタージュ

2010.6.1


 朝鮮日報が、天安事件に対する中国の不可解な行動について書いています。これは、あくまでも北朝鮮への制裁に反対したいとする中国の考えを暗示していると、私は考えます。

 必要な部分を要約します。今日付で掲載された「哨戒艦沈没:韓国側の追加資料受け取らない中国」によれば、韓国は中国とロシアに「調査結果を信頼できないならば、専門家チームを韓国に送り、調査結果を検討してほしい」と要請し、ロシアはすでに調査団4人を韓国に派遣しました。しかし、中国からは何の回答もありません。韓国政府は5月20日の調査結果発表直前に事前説明まで行い、「必要な資料があればいつでも送る」と中国側に伝えました。クリントン米国務長官もソウルで、「韓国が400ページに達する調査報告書を中国に提供すると提案したと承知している」と述べました。中国は専門家チームの派遣も、追加資料の受け取りも拒んでいます。張志軍外務次官は「中国は『天安』事件に対する一次資料を確保していない」と述べていますが、船体、残骸、北朝鮮製魚雷のスクリューなどの一次資料を調べに調査団を派遣しようとしていないというのです。また記事は、中国政府高官が外交ルートを通じ、「韓国は中国の立場を今は理解できないだろうが、長期的にはわれわれの判断が正しかったことを悟ることになる」と訓戒でもするかのように語ったと書いています。


 記事は短期間で削除されるはずなのでリンクは示しませんが、タイトルから元の記事を見つけることができるはずです。

 韓国が懸念しているとおり、中国は北朝鮮を守り通そうとしています。また、彼らも北朝鮮が事件を起こしたと考えているのです。調査団を派遣すれば、北朝鮮がやったという証拠を認めざるを得なくなります。そうなれば、国連安保理で制裁に反対するのは極めて不自然な形となり、それは中国人の体面を重んじる倫理観に反します。都合が悪いことは「見なかった」ことにして済ませたいというわけです。中国が少しでも北朝鮮への嫌疑に対して疑問を持っているのなら、調査団を派遣したり、自身で調査しようとする努力をするはずです。それをまったくやろうとしないのは、中国も北朝鮮犯人説を信じているためです。これで、この事件に関する中国の態度は大筋で読めたと考えて差し支えありません。国連による制裁は行えないか、効力の弱いものになるかのどちらかです。日韓米による経済制裁こそ、北朝鮮を追い詰める主要な手段であり、成功させなければなりません。

 中国は自国とアメリカの間に存在すべき緩衝地帯として北朝鮮を維持したいのです。これについて朝鮮日報は「哨戒艦沈没:米コラムニスト『中国は援助交際男』」という辛辣な米コラムニストの意見を紹介しています。これはブラックユーモアであり、軍事的な議論とは言えませんが、問題の本質を表しているのは間違いがありません。

 また、「哨戒艦沈没:国防部、北の主張に物証提示し反論(上下)」は、北朝鮮の反論に対して韓国国防部が反論した内容などを報じています。これは私が30日に書いた記事と共通する部分があります(記事はこちら)。



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