米軍がミサイル誤射事件を報告

2010.5.30


 military.comによると、今年初めに米軍のミサイルで破壊された車列の中にアフガニスタン人の民間人がいる兆候がありながら、未熟なオペレーターがそれを無視、あるいは軽視して、死者を出しました。

 2月21日のウルズガン州(Uruzgan province)での攻撃において、少なくとも23人が死亡しました。この6ヶ月間でアフガンの民間人に対する最も致死性の高いミサイル攻撃は、無辜の民を殺すことを避ける努力に再び疑念を引き起こしました。

 攻撃ヘリコプターはミサイルとロケットを、その時に米軍特殊部隊とアフガン軍が武装勢力と戦っていたカード村(Khod village)近くの主要道路上の車列に向けて発射しました。指揮官は車列は武装勢力を増強するために村に向かう戦士を乗せていると判断しました。攻撃命令はネバダ空軍基地にいるプレデターが車列をモニターしているクルーからの不正確な情報とNATO指揮官による不備のある状況分析に基づいていました。十分に機能しない指揮所は地上指揮官に車両が敵対的な脅威ではないという証拠と分析を提供できず、プレデターのクルーからのプロらしくない報告は地上軍指揮官に不可欠な情報を与えませんでした。

 マクリスタル大将はアフガンにいる上級将校4人と下級将校2人を非難する書簡を出し、空軍にもプレデターのクルーの行動を調査するように要請しました。

 車列が最初に疑惑を持たれたのは、男が警護しているように見えたからで、3時間以上追尾されました。この移動はカード村の近くの戦いに援軍を呼んでいる武装勢力の無線傍受に合致しました。女性は車両には見られませんでしたが、ある時点で子供が観測されました。これは無人攻撃機のクルーによって不正確に報告されました。攻撃を開始したヘリコプターのクルーは明るい色の服、女性がいるという強い証拠を観測した後で攻撃を止めました。それは最初の斉射のあとでした。それから無人機からの映像が女性と子供がいることを示しました。攻撃の12時間後近くまで、作戦指揮官は民間人に犠牲が出た証拠を報告しませんでした。

 アフガン駐留米軍の広報官グレゴリー・スミス海軍少将(Navy Rear Admiral Gregory Smith)は、無人攻撃機のクルーはピックアップトラックの後部にいた車列中の少数の人を目撃しただけで、他の人たちは箱形自動車の中にいたと言いました。

 記事の後半は省略します。

 この記事を読んで、米軍兵士のどこに問題があったかを考えてみてください。彼らの攻撃が誤認に基づいていたとしても、車列の動きが近くで起きていた戦闘に関係する無線と合致しており、誤認はやむを得なかったのではないかと考えるべきでしょうか。もし、車列が武装勢力を運んでいたら、味方が打撃を受けた危険があったと判断すべきでしょうか。

 この記事には、武器を持つように見えた男が実際にいたかどうかは書かれていません。以前に紹介した事例で、カメラマンの望遠レンズがロケット砲と誤認されたことがありました。この時、ヘリコプターのクルーが「撃たせてくれ」と繰り返して言うのが確認されました。これは問題の本質をよく表しています。狩猟でも意欲が強すぎると、人間が獲物に見えて、誤射事件を引き起こします。この事件の場合、男が確認された時点で、本当に武器を持っているかを注意して観察すべきでした。これが誤認だった場合、最後まで間違いを修正できなかったことになります。

 もし、この車が行き着く先を確認していれば、戦場への増援ではなかったことが確認できたはずです。曖昧な状況証拠からクロと判断することは、多くの場合で、間違いを導きます。結果から考えると、車列は友軍に何の脅威ももたらしていませんでした。米兵たちは、それを確認するのを怠ったのです。

 先日報じられたように、こうした間違いは軍隊なら公表されます。CIAは決して公表しません。軍隊の行動に枠をはめるのが国際人道法(ジュネーブ条約)の存在意義です。残念ながら、その権限は情報機関までは及びません。歴史的事実として、国際人道法が守られた戦争では被害が減ります。私がマクリスタル大将の方針を評価するのは、こうした事実を踏まえたものです。

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