アフガン東部に7つの敵あり

2010.5.16


 今日は日曜日ですが、先日紹介しきれなかった記事を中心に注目すべき記事を解説します。military.comが、戦いの季節が到来したアフガニスタン東部の戦いについて報じました。

 人口密集地、カースト市(Khost)、ガルデーズ市(Gardez)、シャラナ市(Sharana)周辺で、アフガン東部を受け持つタスクフォース「ラッカサン(Rakkasan)」は戦う敵が種類に富むことを見出しました。情報筋は「P2K」として知られる、パクティカ州(Paktika)、Paktya州(パクティヤ)、Khost州(カースト)に、少なくとも7つの異なるグループを対象にしています。アルカイダとタリバンもリスト上にありますが、これらの州によっては、彼らは主要な脅威ではありません。敵はソ連侵攻期によく知られたムジャヘディン戦士の息子、サイラジュディン・ハッカニ(Sirajuddin Haqqani)が率いるネットワークです。彼は凶悪犯以上にイスラムの教義を尊重しません。軍事筋は「彼はミラマシャ(Miramshah)のパブロ・エスコバル(コロンビアの麻薬王、大富豪)です」と言います。他には、カルザイ政権を弱体化しようとする資格を剥奪された元ムジャヘディンがいます。「パクティカの待ち伏せネットワーク(the Paktika Ambush Network)」はスポーツとしてISAF部隊を攻撃することしか望みません。別の軍事筋は、これらのグループは、彼らの先祖よりもよい服を着て、よい装備を持つ武装勢力によって強化されています。これらの武装勢力は、年長でよく組織されています。P2Kには米陸軍第101空挺師団第3旅団戦闘団が6,000人、アフガン国家保安隊14,700人が、8,000人の支持者に支援される1,000人の武装勢力の戦士と戦っています。おそらく、アフガンでの戦争はその転換点に辿り着きました。

地図は右クリックで拡大できます。

 まず、用語について解説します。「ラッカサン」は第101師団第3旅団戦闘団のニックネームです。この部隊の前身「第187グライダー歩兵連隊」は太平洋戦争で日本軍と戦い、終戦直後の8月30日に厚木基地に米軍で最初に日本に到着しました。その後、日本で降下訓練を行ったときに彼らが日本人から「落下傘」と呼ばれたことから、このニックネームがつきました。(公式サイトの隊史はこちら

 この記事にも書かれているように、アフガン戦はこの夏から秋にかけて転回点に達します。それは戦場の状況だけでなく、米国内の世論においても同じことが起こります。これにより、アフガン撤退に関する世論も概ね支持に転じるでしょう。

 戦力比だけ見れば、20:1でNATO側が有利に見えますが、8,000人も支持者がいて、アフガン軍があてにならないことを考えると、タリバンの支持者たちも戦力に含めるべきでしょう。すると、戦力比は2.3:1と激減します。侵攻作戦なら、この戦力比でも勝てるチャンスがありますが、こうした治安作戦では戦力比が最大の要素ではないことに注意が必要です。米軍がベストを尽くしても、アフガン東部で勝利を収める可能性はほとんどありません。なにもかも条件が悪すぎます。


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