ペトラエス大将がカンダハル戦を展望

2010.5.1


 military.comによれば、米中央軍司令のデビッド・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)がアフガニスタンのカンダハル戦について「大変な時期」になるという見通しを語りました。

 ペトラエス大将はアフガンを電撃訪問し、記者会見で次のように語りました。

「周知のように、ここ数週間、カンダハルでは大変な時期を送っています。そして、これから数週間、数ヶ月間、もっと大変な時期になることを我々は知っています」


「我々がイラクで学び、アフガンで再び学んだように、敵の勢い、聖域や隠れ家を取り除くために戦えば、敵は反撃します。それは戦うのを難しく、大変なものにします」


「カンダハルでの作戦は通常の攻勢にはなりません。むしろ、街の外や周辺での精密な作戦です」


「敵は反撃します。我々のイラクでの経験は、それが以前よりも難しくなるということです」


「911事件は、ここカンダハルで計画されました」

 カンダハル戦の課題は軍事的な占領を成功させてから、アフガン政府が行政サービスを行うことですが、ペトラエス大将の話では戦闘自体がむずかしそうです。もっとも、これはすでに明らかになっていることですから、驚くには値しません。さらに問題だと思うのは、大将が911事件とカンダハル戦を結びつけていることです。これは事実ですが、911事件はタリバンが行ったのではありません。タリバンは土着軍と言うのに相応しく、911事件のような用意周到な攻撃を実行する能力を持ちません。真犯人であるアルカイダは、場所にこだわらずに活動することで知られていて、それが対テロ戦の特徴となっています。911事件の計画は、たまたまカンダハルで行われただけです。通常の作戦ではないと言いながら、ペトラエス大将は、敵の本拠地を奪う従来の戦争と対テロ戦を混同しています。陸軍型の頭を捨てないと、テロ組織とはうまく戦えません。彼がイラクで指揮をとっていた時から、その発言に感銘を受けることはありませんでした。今回、彼が現地で指揮をとらないのは幸いです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.