退役軍人の失業率が最高値を更新

2010.4.4


 昨日更新できなかったので、本日更新を行います。military.comによれば、労働統計局(the Bureau of Labor Statistics)が公表した数値によると、無職のイラク・アフガニスタン戦争時代の退役軍人が今年の第一四半期の3ヶ月で失業率が2桁を記録し、1年以上の間、最高点に達しています。

 3月の失業率は14.7%で、1月と2月よりも2%、2009年の3月よりも4%上でした。同局のエコノミスト、シャロン・コーニー(Sharon Cohany)は、第2湾岸戦争(イラク・アフガン戦のこと)時代の退役軍人の失業の増加は統計的に大きな差ですが、傾向か一時的な急増かを判断するには早すぎると言います。「我々は第2湾岸戦争において増加をみました。我々はこれについて言えることがいくつかあります。1つは、我々が月による変化を比較する気がないので、退役軍人のデータが季節調整済みではないということです。2月から3月は、根本的な経済の傾向とおなじく季節的変化が少ないので比較に適していません。コーニーは、数字は未だ調査の水準としてはかなり小さく、データの傾向を確立するには数ヶ月かかるといいます。労働統計局によると、2001年のアフガン侵攻以来に勤務した退役軍人全体の失業率は2009年で10.2%で、3月の退役軍人の失業率は9.8%で、国全体の9.7%を少し上回ります。しかし、退役軍人組織「全米イラク・アフガニスタン退役軍人会(the Iraq and Afghanistan Veterans of America: IAVA)」のポール・リックホフ代表(Paul Rieckhoff)は、一般の失業率と退役軍人の失業率は驚くほど違うといいます。同団体のトム・タランティーノ(Tom Tarantino)は、軍と議会が民間の世界で人々を雇う人たちが兵役と経験を「定量化」する方法を見つけることが重要だといいます。多くの会社は、指導力を含むすべての技術や軍人が制服を着ている間に学ぶことが仕事場に何をもたらすのかが分からないのです。「いま、あなたが戦闘救命士だったとして、戦場で精神的外傷を負ったとすると、軍を去った後、大部分の州では救急車を運転することすらできません」。IAVAは退役軍人に政府の仕事を続けさせる方法を拡大するために議会指導者と共に働いています。退役軍人が連邦の仕事に申し込んで幸運を祈るだけの古い「復員軍人優遇措置」と違い、9月に開始される計画は軍を去ると同時に連邦の仕事への必要なステップを取ることを手伝います。彼らの技術はどの連邦の仕事ができるかを決定するために評価され、その仕事へ向かわせます。

 「季節調整」とは、経済統計などで、季節によって気候などによって必ず起こる変化を統計値から取り除き、実質的な傾向を割り出すことです。たとえば、夏にはアイスキャンデーがよく売れるので、初夏に新発売となったアイスキャンデーが売れているかどうかは、初夏だけの売り上げだけでは判断できません。

 退役軍人に仕事がないとか、ホームレスになったとか、自殺したとか、その他のトラブルはなくなることがないかのようです。これは昔からの問題ですが、人々はこんな話よりも英雄の物語を好んだり、さも兵士のことを心配しているかのような態度をとるだけで済ませています。愛国心を満足させるには、その程度で十分なのです。未だに、軍隊での経験を企業などの民間団体が評価する方法がないのが、その証拠です。この記事に見られる改善も、連邦職に限られています。こうした実状を意識する軍人は、現役中から通信教育などで資格や学位を取得し、除隊後に就職しやすくなるよう努力するわけですが、そうした努力もPTSDや外傷による後遺症を抱えた場合は、無意味になる危険があります。むしろ、そうした軍人の面倒をみる方法が充実させられるべきなのかも知れません。足はなくなったけど、手は動くから座って行う作業ならできるという退役軍人をどうやって働かせるかという問題です。 それでも、PTSDのために集中力が減退し、こういう作業もできない人たちは救えません。補償金だけ支払って、あとは家でじっとしていて下さいと言うしかありません。 解決できない問題もありますが、救える問題はすべて救いたいというのが、傷痍軍人の問題を解決する基本的な方針であるべきです。


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