Wikileaks事件の元米兵が謝罪の書簡を公開

2010.4.21

 military.comによれば、2007年にバグダッドでアパッチヘリコプターがロイター通信の社員2人を含むイラク人を殺害したとされる事件で、兵士が謝罪の手紙を公開しました(関連記事はこちら)。

 米軍の攻撃で負傷した子供を救おうとするビデオの中に見られたイーサン・マッコード元技術兵(Spc. Ethan McCord)と、その日、実際に地上作戦にはついていなかったジョシュ・スティーバー元技術兵(Spc. Josh Stieber)は、イラク人の生存者にあてた書簡の中で、「あなた方が愛する人々を殺傷したことについて責任を認めます」と述べました。マッコードとスティーバーは第16連隊第2大隊B中隊に配属されていました。アパッチヘリコプターは第227航空連隊に所属しました。アパッチへリコプーはパイロットが戦闘員だと信じられる男性の一群を目撃したとき、地上作戦を支援するために呼ばれました。マッコードはグループの数人がRPGを発射したというヘリコプターの乗員の主張を支持します。ビデオを見た他の人たちは、RPGは見えず、乗員が確認したのはロイター通信のカメラマンのカメラだと言います。その後、ヘリコプターは負傷者を迎えに行ったバンに発砲し、数人の大人を殺し、車内にいた子供2人を負傷させました。マッコードは、最初の攻撃は乗員が武器を見たと言ったので正当化できると思っていますが、バンへの攻撃は正当化できないと言いました。陸軍の調査は兵士の不正を見出しませんでした。ロバート・ゲーツ国防長官は、Wikileaksを何の説明もなくビデオを投稿したと非難しました。マッコードとスティーバーはビデオに説明がないことを認めながらも、それがイラクにおける米軍の行動の悪しきものを示していると言います。2人は手紙の中で、このビデオは「唯一我々が作った苦痛を描写しています。我々が話した我々自身の経験と他の帰還兵たちの経験は、我々がこのビデオに描写された行為はこの戦争で日常的に起きていること、この地域において米軍が主導する戦争がどんなものかという本質であることを知っています」。イラクにいる間に良心的兵役拒否者になったと言うスティーバーは、兵士はパトロール中にIEDが爆発したら「その地域にいる者全員を自由に撃った」と言います。これらの人々がIEDに関係があることは滅多にありませんでした。こうした状況で発砲を命じられたら、彼は狙いを外したものでした。彼の指揮官が、彼が良心的兵役拒否者なので居残るように命令したので、ヘリコプター攻撃の日にバグダッドの任務にはいませんでした。マッコードは「この和解の書簡は必然的にこの状況のすべてを表すわけではありませんが、私がそこにいて起こった状況と子供をバンの外に引っ張り出したことを、私はすべてを受け入れます。私はこれが兵士に反発を引き起こすことを理解していますが、兵士の支持も得ています」。

 意外な告白がイラク戦の実態をまた暴露しました。攻撃前に敵であるかどうかを確認せよという交戦規定は、事実上、守られていないのです。犠牲者が武装勢力であるように見せかける偽装工作、死体から米軍の銃弾を抜き取って証拠を隠すといった行為も繰り返し報告されています。一方で、米兵からは交戦規定が邪魔だという意見が出ています。どちらがより正しいことを言っているのか、我々は判断する必要があるのです。ハディーサで起きた事件も、IEDの爆発の後で米兵が武装勢力を追いかけ、民家に押し入って寝ていたイラク人を殺害したものでした。武装勢力がいたという証拠は見つからず、現場で証拠が隠蔽された事実が明らかになっています。

 なお、時間がないので書けないのですが、military.comが米軍が先日撤退したコレンガル峡谷の前哨基地を、タリバンが利用している映像を報じています。(関連記事はこちら


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