提督が海賊対策で資金追求に言及

2010.4.20

 military.comによると、米海軍はパトロールによるソマリアの海賊への対策から、別の方法による問題解決を検討しています。

 ヨーロッパとアフリカにおける最高の海軍指揮官、マーク・フィッツジェラルド海軍大将(Adm. Mark Fitzgerald)は、艦艇によるパトロールは費用がかかり、世界中の艦隊から貴重な資源を奪うので、各国はこうした高くつく作戦を続けることはできないと言います。フィッツジェラルド大将は、海軍が近いうちに任務を断念することを示唆しませんでしたが、彼の意見は海賊行為が寄り暴力的になるのなら、その答えはどこか他の場所にあるかも知れないことを示唆します。大将は、海軍業界は武装警備員を雇うとか、その他の海賊を妨害する非致死性行動を含む、攻撃を阻止するすべてを行うことを確実にするべきだと言います。大将は今週、国防総省で行われた記者との座談会で「海運業界は彼らがどれだけこれを引き受けたいと望むか決めなければなりません」と、言いました。海軍のパトロールは効果的でした。米軍艦艇約10隻を含む約40隻の海軍艦艇が常時、これらの海をパトロールしています。業界は暴力を高める恐れから警備員を雇うのに難色を示しました。これには様々な国に寄港する船に武器を乗せることについての法的な問題もあると、業界関係者は言います。海軍の視点からは、捕らえた海賊をどうすべきかという長年の法的な問題があります。一般的に、彼らは海運業界が年に何百万ドルも要する問題に対処するために役に立つ知識をほとんど提供しない低レベルのソマリア出身の戦闘員です。フィッツジェラルド大将は解決はアメリカにとっては、海賊の源を追求することだと言います。彼は軍事力の行使を排除しませんでしたが、金を追求することは出発するにはよい場所だと言います。ケニア当局者は大将に、ケニアやエチオピアの高級不動産を買うのに使われているソマリアから来る金が海賊行為の利益とみられると述べました。オバマ大統領は火曜日に、財務当局者に海賊行為に関係する個人の資産に制裁を加えたり凍結する権限を与えました。

 呆れ返るとはこのことです。イラクには湯水のように注ぎ込んだ戦費が、ソマリアの海賊対策には出せないというのです。艦艇によるパトロールが高額なら、イラク侵攻はお安く済んだというのでしょうか?。意味のない軍事行動に金を使うから、本当に必要なところに回せないのではないのですか?。同時多発テロ以降、我々は理性を失い、正しい軍事戦略を考えようとしてこなかったのではないですか?。海賊問題が顕著化すると、各国はテロ問題と混同して、我先にテロとの戦いの最前線に馳せ参じるつもりで、艦艇を派遣したのではなかったですか?。それが今になって、海賊は海運業界の努力で防げるとは、どういうことでしょうか?。だったら、最初からそういう方針を打ち立てていればよかったのではありませんか?。それに、非致死性の対策が効果的であることが分かっているのに、効果をあげた実例をあまり聞かない警備員に言及するのは、民間軍事会社の利益に配慮しているように聞こえます。海賊の資産を差し押さえるのは効果はあるでしょうが、その根絶までの効果は期待できないと思われます。不動産ではない別の凍結しにくい資産に切り替えられる危険もあります。海賊問題が生じてから、今までかなりの時間が経つのに、こんなことしか言わない軍人が現場を仕切っているのです。先進国は、世界貿易センタービルが倒壊するというショックから、未だに立ち直っておらず、意味のない対策に終始しているという印象しかありません。


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