ロシアがアフガン麻薬対策の必要性を主張

2010.4.1


 spacewar.comによれば、ロシア連邦麻薬管理局のビクトル・イワノフ局長(Viktor Ivanov)がNATOはアフガニスタンの大麻栽培と戦う必要があると言いました。

 「アフガンにおける大麻の生産は2001年にNATOが軍事活動を始めてから40倍に増加しました。アフガン産の薬物は2009年にNATO諸国で10,000人を殺しました。これはNATO軍の損失より50倍以上高いのです。我々は戦略を変え、この危険の治安の脅威と戦う必要があります」。アフガンの麻薬産業は毎年650億ドルを生むと見積もられています。タリバンが西欧諸国と戦うための軍事費は毎年300億ドルとみられています。アフガン南部の貧しい農民は大麻を栽培してタリバンから金をもらっています。大麻のペーストはアフガン全土にある工場でヘロインへ作り替えられ、中央アジアを通じてロシアへ、イラン、トルコ、バルカン諸国を通じてヨーロッパ連合圏へ密輸され、アメリカとカナダへ伝わります。ロシア政府は2009年に30,000人がアフガン産のヘロインで死亡したと主張します。イワノフ局長はNATO軍は大麻畑を破壊すべきだと主張しますが、米政府はそれはアフガンの農民から生計を奪うので逆効果だと考えています。NATO軍は大麻栽培から別の農産物へ転換するよう説得していますが、これは収穫物を市場に運んで販売する輸送インフラがない困難な仕事です。イワノフ局長は、ロシアがアフガンの薬物才蔵により大きな規模で協力すると述べ、ロシアはアフガンの麻薬を担当する警察官を訓練することに同意しています。アメリカとロシアは昨年夏以来、麻薬取引に関する情報を共有しています。

 2001年以来、アフガンの麻薬生産が40倍になったというのは、先日紹介したロシアのNATO特使ドミトリー・ロゴツィンが主張した10倍という数字よりも大きなものです。ロゴツィン特使の数字が誇張されていることは、先に記事で紹介しましたが、今回の数字はさらに誇張されています(前の記事はこちら)。どういう考えで、こうした数字を出してくるのかは不明です。NATO諸国で年間に麻薬で死亡するのが10,000人というのは、他の資料にもみられるので正確です。ロシアだけで30,000人が死んでいるという数字が危機的なことは間違いがありません。ロシアが麻薬対策で必死になっていることは、ロシアをアフガン問題に引き込むチャンスです。過去のこと(1979から1989年のアフガン侵攻)がありますから、ロシアの関与は限定的なものに限られます。それでも、手を貸してもらえるのなら、これに越したことはありません。それには、他のNATO諸国がどれだけロシアの申し出に関心を示すかが問題です。案外、大した反応もなく終わってしまう場合もあるのです。

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