カンダハル攻勢は6月に開始

2010.3.31

 military.comによると、戦争の結果を究極的に決定するとみられるカンダハルの長期攻勢は6月までに始まります。

 6月までに開始される予定の2ヶ月間の作戦は、1万人以上の兵士を投じ、僅かな進歩しか示していない8年間の戦争に変化をもたらすオバマ大統領の賭けを試すことになります。国家安全保障補佐官ジム・ジョーンズ(national security adviser Jim Jones)は「これは我々が関与した歴史の中で本当に戦略的な瞬間です」と先週末、オバマ大統領とアフガニスタンへ向かうエアフォースワンの中で記者に語りました。カンダハルは戦争に勝つために重要と考えられており、米当局はカンダハルに同時多発テロを計画したアルカイダの指導者がいたと信じ、2001年の侵攻以来、タリバンの統治の首都として役目を果たしてきました。上級軍当局者は月曜日に、カンダハル攻勢は6月までに始まり、その目標は8月にイスラム教のラマダン(断食月)が始まる前に、カンダハルを解放することです。当局者はこの作戦について公言する権限がないため、匿名という条件で話しました。作戦開始時期が明確されたのは、これが初めてです。

 記事の他の部分は、これまでの経緯のまとめなので省略します。

 カンダハル作戦の開始時期が6月であること。作戦期間は2ヶ月であること。投入兵力は数万人であること。これによって、カンダハル作戦の概要が見えてきます。 マルジャとその周辺を攻略したムシュタラク作戦の参加兵数は15,000人で、約7,500人がマルジャに投じられました。常識的に言えば、カンダハル攻勢はこの3倍は必要です。2倍だと少々厳しい感じです。作戦地域が広いのと、市街戦が予想されるので、余裕のある兵数を確保したいところです。これは増派兵力のすべてと、既にいる部隊も参加するくらいの兵数です。そういう形なるのなら、これで失敗したら、いよいよアフガンから撤退すべきだという意見が主流になるでしょう。2ヶ月間という作戦期間にあまり余裕はありません。できれば3ヶ月以上の余裕が欲しいところですが、ラマダンに間に合わせるには仕方がないのでしょう。住民への告知が始まったという話が書かれていないのが気になります。

 一方でmilitary.comが、カナダ軍は2011年末までにアフガンでの軍の活動を終了すると報じました。火曜日、スティーブン・ハーパー首相(Prime Minister Stephen)がヒラリー・クリントン国務長官(Secretary of State Hillary Rodham Clinton)へ対してカナダの方針を伝えました。クリントン国務長官はカナダのテレビ番組で、アメリカはカナダが2011年以降もアフガンに残り、戦闘から訓練や補給支援の役割へ切り替えることを示唆しました。しかし、ハーパー首相の広報官ドミトリー・ソーダス(Dimitri Soudas)はクリントン国務長官に、2011年以降、カナダは援助と再建において民間人の活動に関与していくと言いました。カナダの外務大臣ローレンス・キャノン(Foreign Minister Lawrence Cannon)も、月曜日遅くに行われた記者会見で2011年以降の軍の活動を除外し、アメリカとカナダの間にいかなる緊張が起きることも望まないと言いました。ハーパー首相とクリントン国務長官はオタワで開かれた8ヶ国外相会議で20分間会談しました。カナダ議会は2011年にカンダハル州での軍の活動を終了することを決定しました。カナダはアフガンに2,900人を配置しています。カナダはアフガンに軍を派遣して以来、141人の兵士と1人の外交官を失いました。

 アフガンから離脱していく国が次第に増えています。カナダは、どのように検討しても、アフガンでこれ以上の成果がないと判断しているのです。しかし、人間はこれだけ誤りを繰り返さないと、民政支援の方が有効だと気がつかないのでしょうかね?。

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