ライス元国務長官「またイラクを解放したい」

2010.3.20


 military.comによれば、ブッシュ政権時代の国務長官コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)が、中国の香港大学で講演し、「私はもう一度イラクを解放したいと何度も思います。ブッシュ政権が戦争で引き裂かれた国を再建するイラク人の近くで働けないのが残念です」と言いました。

「歴史は最終的に、ジョージ・W・ブッシュ大統領の政権間になされた決定が多くは潔白だったと証明すると信じています」

「私はサダム・フセインからイラクをもう一度解放したいと何度も思います。私は彼が中東に対する脅威だと考えます」

「米政府はイラクが社会としてどのように破壊されたかと、首都バグダッドの外部の再建努力に集中すべきであることを理解するのに失敗しました。我々はバグダッドの外へ向かってイラクを再建しようとしましたが、本当はバグダッドの外から中へ再建すべきでした」

「我々は部族と共に働くべきでした、各州で働くべきでした」(ライスは、より小規模なプロジェクトを重視すべきだったと付け加えました)

「これが(2003年の侵攻の数年後に)我々が回顧の中で得たものです」

 ライスは現在、スタンフォード大学のフーバー研究所の公共政策研究グループの上級研究員です。

 ライスが経験から何も学んでいない点に、私は驚かされます。まだ、フセインを脅威だっだと考えていることもそうでしたが、戦略目標がアルカイダであることを忘れ、フセインが唯一の脅威であるように語っています。もし、イラクに侵攻する理由があるのなら、それはアルカイダを妥当するために必要不可欠だという理由が必要です。そんなものはありませんでしたし、侵攻のために軍の資源が無駄に費やされたのです。イラク侵攻はテロを殲滅する貴重な時間と資源を浪費したのであり、これがイラク侵攻から学ぶべき教訓です。古来、言われているように、軍事活動においては、何が敵であり、攻略すべき目標かを正しく見積もり、それを達成する方法を選択すべきなのです。つまり、「目的と手段は合致されるべき」ということです。イラク侵攻以降、こうした古人たちが蓄積してきた軍事の英知は無視され続けてきました。現在行われているような戦争が人類の英知とは思えません。ベトナム戦争の失敗以降、米陸軍は改善を続け、その成果は湾岸戦争で発揮されました。その成果は、イラク侵攻という馬鹿げた戦略によって灰燼に帰したのです。ライスが言う、「バグダッドの外から中へ解放する」という発想はどうでもよい話に過ぎません。イラク侵攻後、イラクの多くの場所がテロの戦場となったのです。イラクのように広大な国を、十万程度の兵で治めようという発想が、そもそも理屈に合っていないのです。ライスは世界最高の安全保障の専門家の1人ですが、それでもこのレベルなのです。私が一般人が戦争を考える必要があるというのは、専門家がしばしば間違いをするためです。そうした人間が政権の中にいることがどれほど危険かを、一般人が認識していなければならないのです。

 別に、一件追加します。アフガニスタンで民間軍事会社の警備員が海兵隊員を殺害した可能性がある事件を8日に紹介していました。これについて、AP通信が情報公開法に基づいて請求した海兵隊の報告書は警備員が海兵隊員を殺したと結論したとmilitary.comが報じました。警備員はアフガン人で、事件は早朝に起きたのですが、動機などについては、この記事にも書かれていません。


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