帰国期間の改善と毒殺テロの真相

2010.3.2


 military.comによれば、イラク撤退と増員のお陰で、海外での戦闘派遣から本国に戻ってから次の派遣までの期間が増えていると、ジョージ・ケーシー大将(Gen. George Casey)が述べました。

 現在、兵士の帰国期間は平均14~15ヵ月で、より多い場合で17~18ヵ月ですが、2年間の計画目標にはまだ足りません。陸軍は数年前から65,000人の増員を開始しました。イラクからは2011年12月までに完全に撤退する予定です。数年前、ケーシー大将は、海外派遣が陸軍を「不均衡」にしたと述べました。ケーシー大将は記録的な数に達した兵士の自殺についても触れました。別の記事では、マイク・マレン統合参謀本部議長(Mike Mullen)は、兵士が家族と共に時間を過ごす重要性を説いたと報じています。

 ようやく、派遣後の休養期間が正常に戻りつつあるようです。効果が出るのはこれからですから、PTSDや自殺の発生率にどんな変化が出るかを見ていく必要があります。今後、半年くらい、これらの数字に注目していきたいと考えます。休養期間を増やしても、派遣回数が重なると問題が増えるのかどうかも、今後の調査によって明らかになるでしょう。

 もう一つ、テロ事件と思ったら、そうではなかったという事件が報じられています。military.comによれば、ジョー・ウィルソン上院議員(Rep. Joe Wilson)が、サウス・カルフォルニアのフォート・ジャクソン基地で、基地の食べ物に毒を入れる計画と5人のイスラム系兵士とは無関係だったと述べました。ウィルソン上院議員は、米軍事委員会(U.S. Armed Services Committee)のメンバーから受け取った情報は、基地で食べ物に毒を入れる企てが行われた証拠はないことを示していると述べました。4人の兵士は軽犯罪により陸軍から除籍され、もう1人はヴァージニア州の州軍に復帰しました。5人の氏名は公表されていません。調査のため、5人は昨年12月に拘留されていました。米陸軍犯罪捜査司令部のクリス・ゲリー広報官(Chris Grey)は、基地の食べ物はまったく危険ではなかったと述べました。FBIは彼らのラップトップコンピュータを分析しており、他の犯罪が見つかるまで調査するとしています。フォート・ジャクソン基地には、50,000人の兵士がおり、13ヶ所の食堂で毎日40,000人分の温食が提供されています。

 この事件については詳細が報じられていません。誰が、なぜ、食べ物に毒が入っていると考えたのかも、なぜ5人が疑われたのかも、なぜラップトップの調査が続いているのかも、判断できるほどの情報がありません。いくつかのニュースを調べましたが、しかし、事件自体が存在しなかったのなら陸軍の失態です。まだ、何でもイスラムのせいにする風潮が消えないのかと失望させられる話です。CBN.comによると、5人は12月にアメリカに対するテロ攻撃を計画し、クリスマスの直前にパキスタンで逮捕された、ワシントンのイスラムグループと接触したかも知れないという関係者の話を紹介しています。おまけにこの記事は、5人をマイケル・ジャクソンの父親が作ったバンド名になぞらえて「Fort Jackson Five」と呼んでおり、冗談になっていないという気がします…。


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