ロケットの偏差距離が2倍へ変更

2010.2.16


 military.comによれば、米軍とアフガニスタン軍はマルジャの中心部に向けて、さらに進撃しています。タリバン兵による狙撃が増えている模様です。

 マルジャの北部では、装甲部隊の車列が少なくとも3つの狙撃チームから攻撃を受け、進撃を遅めました。狙撃チームの1つは154フィート(50m)以下の距離まで近づいてから発砲を始めました。部隊は市内に空輸された米軍とアフガン軍をつなげるための2.5マイル(4km)の進軍の準備をしました。早朝、タリバンの小部隊が、より大きな待ち伏せに連合軍を引き込むために、いくつかの銃撃戦を始めました。

 ナド・アリ地区(the Nad Ali district)の誤爆事件で情報が修正されました。NATOは米軍のロケット2基が民家を直撃した事件で、目標とロケットの偏差距離を300ヤード(300m)から600ヤード(600m)へ変更しました。アフガンのアトマ内務大臣(Internior Minister Atmar)は、死亡したうち9人が民間人で、2~3人が武装勢力だったと述べました。トラビス・アンダーソン伍長勤務上等兵(Lance Corp. Travis Anderson)は、彼の小隊が、男たちが民間人に紛れ込むために歩き去る前に、銃を溝に捨てるのを何度も目撃したといいます。交戦規定は、武器を持たない者を攻撃するなと定めているので、戦闘が行いにくいとアンダーソンは言います。連合軍の死者は2人のままで、武装勢力の死者も27人で、昨日から変化がありません。

 military.comの別の記事は、ムシュタラク作戦の戦略的意義を報じています。この作戦は、今後数ヶ月続く、より広範な対武装勢力計画の一部であり、オバマ大統領の新戦略のテストなのです。大統領の安全保障補佐官ジェームズ・ジョーンズ(James Jones)は、FOXニュースで「これは我々がデモンストレーションする最初の大きな作戦で、治安維持作戦だけでなく、アフガン軍の目に見える形でのプレゼンスを伴う地元や地方レベルにおける経済改革と良好な統治という、戦略の新しい要素がうまく行くと考えます」と述べました。一部のアナリストと軍事専門家は、ヘルマンドが最優先事項であってはならないと言います。東方のカンダハル州は、タリバンの精神的な拠り所であり、より重要だといいます。

 戦闘は銃撃戦へと転じており、今後はゆっくりと進むのは間違いありません。記事もあまり有益な情報はなく、戦いの詳細を知るのは難しそうです。死傷者の数が少ないのは、大規模な戦闘が少ないことの証拠です。タリバンは少しでも長く持久することを目標としており、敵に姿をさらさずに進軍を遅らせようとします。だから、戦闘が散発的であってもおかしくはなく、タリバンが劣勢だと言い切ることもできません。

 誤爆事件の偏差距離が600mへ修正されたので、安全措置については問題がないことが分かりましたが、今度はなぜそんなにロケットがずれたのか。2基が同時に同じ場所へと狙いを逸らしたのかが問題となります。座標の入力ミスのような単純なミスも想像してしまいます。

 ジョーンズ補佐官の意見は理解できますが、果たしてうまく行くのか、私は懐疑的です。地元の人たちがどれだけ政府側になびくか、私には予測できません。立場が弱い人たちは、両者によい顔をしようとするでしょう。これはベトナム戦争でも起こったことです。それに、本当に重要なのはカンダハル州であるのも納得できます。中・長期的に見ていかないと、この作戦は本当に理解できそうにありません。早期に「成功した」という者が出たら、その意見は警戒して聞くべきです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.