米軍がIEDを除去しつつマルジャに接近

2010.2.12


 military.comによれば、ムシュタラク作戦(Operation Mushtarak)がさらに進展し、米軍とアフガニスタン軍がタリバン防衛ラインの外縁部に達しています。

 第5ストライカー旅団はマルジャ北方に向かって、タリバンの脱出ルートを塞ぎました。衝突は今のところ散発的です。海兵隊はタリバンが本格的な攻撃が始まる前に、より大きな戦闘に海兵隊を引き込もうとしていると言います。タリバンはマルジャ周辺に塹壕にいる米軍とアフガン軍にロケット砲や迫撃砲を撃っています。米軍指揮官はマルジャには400~1,000人のタリバン兵がいると見積もっています。南方からマルジャに接近した第5ストライカー旅団が率いる米軍とアフガン軍は、地雷や道路爆弾を通過するのに時間がかかることに気がつきました。

 military.comの別の記事は、地雷原突破車(Assault Breacher Vehicles)が前進に用いられていることを報じています。この車両は、重量72トン、全長40フィート(約12m)の装甲車で、幅15フィート(約4.6m)の鋤状の装置が付いていて、これで地面をなぞって爆弾を起爆させ、安全な通路を造るのです。さらに、C-4爆薬を搭載したロケットを最大150ヤード(約137m)飛ばして、1,700ポンド以上の地雷除去爆索(Mine Clearing Line Charges)を起爆し爆弾を爆発させ、通路を造ることができます。車両を操作する兵士のインタビューも載っていますが、作業は順調に進んでいるようです。

 今日の記事で、400~1,000人との見積もりが出てきました。真ん中を取れば700人ですから、先の800人という見積もりと,概ね近い数字です。常識的には、2,000人のタリバン兵がいたのなら、その半数より少し少ない兵士を街に残し、残りが脱出するものです。米軍側も地雷原を突破するアタッチメントを持つ車両で、IEDを掘り起こしながら前進しています。両者とも,現在のところはお互いの戦術に従って行動しています。十分な突入路ができあがれば、攻撃部隊が街に接近し、敵を捜索・発見・攻撃・前進のパターンを繰り返します。その際、できるだけ兵が敵に身をさらして攻撃を受ける危険を減らします。タリバンはできるだけ多くの米兵を殺そうとします。 この過程で、街に取り残された市民に犠牲が出るのです。タリバンの抵抗が激しい場合、米軍は発煙弾で敵の照準線を妨害すると、砲兵や航空機に敵の拠点を攻撃するよう指示を出します。これらの支援火力は往々にして敵だけではなく、その近くにいる人たちを無差別に殺傷します。沖縄戦で市民に多数の被害が出たのも同じ理由です。今のところ、タリバンが市民を解放したという情報はありませんし、そんなことにはならないでしょう。米軍がなにか対策を持っているのかが気になります。

 非常に心配な状況です。 本格的な攻撃が始まるのは2〜3日後でしょう。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.