ケモリ周辺の北朝鮮軍の疑問

2010.12.21

 昨日告知したケモリの北朝鮮軍の防衛態勢に関するkmzファイルをアップロードしました(kmzファイルはこちら)。それらについて解説します。

 今回はウィンドウズでより一般的なzip形式で保存しました。

 自走砲の砲座と思われる、直径約10mの円形施設は、多くが道路沿いかその近くに設置されています。これは道路を移動してきて、砲座に短時間で入り、即座に砲撃を行って、また移動するための工夫であり、非常に合理的です。

 しかし、気になることがあります。下の2つの写真を比較して、おかしなところを指摘してみてください。(写真は右クリックで拡大できます)

韓国軍の自走砲砲座

北朝鮮軍の自走砲砲座

 何か気になるところはありましたか?。

 北朝鮮軍の砲座は最近整備されていないか、使った形跡がないように見えません。これらの砲座には、盛り土の高さが低いとか、形が崩れているとか、内部にキャタピラ痕がないなどの特徴が認められます。道路沿いに設置された砲座には、様々な車両の移動による通過でできたタイヤ痕やキャタピラ痕があるのは当然です。問題は砲座の中で自走砲が方向を変えた跡がまったく見られないことです。多連装ロケットのタイヤ痕ははっきりと見えますから、自走砲のキャタピラ痕が見えないとは考えられません。訓練で砲座に出入りしたり、その中で旋回すれば、明確にキャタピラ痕が残るはずです。延坪島にある韓国軍の砲座にはキャタピラ痕が明確に見えます。北朝鮮軍が頻繁に訓練をしているのなら、これが確認できないとは思えません。

 ここから、この地域を担当する第4軍団は、最近自走砲の訓練を行っていない疑いが生じます。これが延坪島砲撃事件で自走砲が使われなかった理由かも知れません。なぜ、榴弾砲やカノン砲を使わないのかは非常に疑問です。これらの野砲こそ陸上戦闘の主役であり、最も殺傷力を持つ兵器だからです。野砲が使えない陸軍は戦力に大きな期待が持てません。敵に集中した攻撃力を発揮できないので、押しまくられるのを避けられないのです。これは北朝鮮の戦力に対する考察として、重要なポイントとなるかも知れません。

 先にkmzファイルをアップロードした「北朝鮮軍の多連装ロケットC」にも、とてもおかしなところがあります(過去の記事はこちら)。下の写真のどこがおかしいかが分かりますか?。

写真は右クリックで拡大できます。

 6門のロケットランチャーの内、3門にはタイヤ痕が認められるのに、残りの3門にはありません。タイヤ痕をつけずに、この位置に移動することはできませんから、これらの3門は足のない幽霊、模擬砲だと考えられます。



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